違法の健康【毎週ショートショートnote】
近い未来かもしれないし、遠い未来かもしれない。もちろんそういったお話。
人類は自由に遺伝子を操作し、遺伝子を組み換えることができるようになっていた。
そのとき世界では放射能がまき散らされ、『甲状腺』の遺伝子組換え手術のみ『合法』になっていた。
それは人類が永続するために必要な措置だったのだ。
だが、細胞の改変に関しては寿命を伸ばすことになり、倫理的な理由により法律で禁止されていた。
同時に遺伝子操作ができる医師は続々と闇落ちしていた。
闇手術は違法になるが報酬は一般の医師報酬の数十倍は得られるのだ。
そこに倫理的な問題もあるが医師が闇落ちする理由は他にもあった。
一般の医師の医療行為は高所得者に対してのみとなっていたのだ。
闇落ちした医師たちは低所得者への医療行為も行っていた。高所得者に対して高額報酬で違法な闇手術を行い、その報酬で低所得者への医療費用を賄っていた。
低所得者の健康は高所得者の「違法の健康」の上に成り立っていた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
ディストピアSFにしてみました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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