モンブラン失言【毎週ショートショートnote】
「ほら、みんな集まって~。ケーキだよ。ケーキ」
部長はお皿にケーキを乗せて、一人一人に取り分けていった。
「君、モンブラン好きでしょ」
「え~どうしてわかるんですか」
「そりゃ、顔を見たらすぐにわかるよ」
「私が太ってるって言いたいんですか?部長!」
「こりゃまた、失礼!モンブラン失言!ははははは」
「……」
「ほら、気にしないで!食べて」
「いただきます!」と言って一口食べた。
「わあ、美味しい!でも、どうしたんですか。こんなにたくさんのケーキ」
「取引先のケーキ工場の社長からもらったんだよ。独り占めしようかと思ったけど、さすがにね」
「独り占めはダメですよ。どこかの領主と同じになっちゃいますよ」
「そういう領主がいたな。まあ、あれの問題は独り占めだけじゃないけどな」
そのときドアをノックする音が聞こえてきた。
「あっ、冒険者がきましたよ。冒険者にもケーキあげましょうか」
「疲れているだろうからな。冒険者に中で休んでいくか聞いてみてくれ」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※ファンタジー世界でのお話です。ファンタジー世界の中にも現実世界のような出来事があり、現実世界の中にもまたファンタジーがある。現実世界において人間の行動に対して信じられないことが起きると、それはまさにファンタジーでもあり、ミステリーでもある。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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