腋の薔薇時計【毎週ショートショートnote】裏お題
ある朝、目が覚めると腋に赤い薔薇が咲いていた。
「何だこりゃ!」と思い、その薔薇に触れてみた。
本物の薔薇よりは、それはいくぶん丈夫な感触で、無理矢理取ろうとしても、皮膚と同化していて取り外すことはできなかった。
僕は気になりその薔薇を観察した。
少しじっとりとした花弁をめくるとそこにはデジタル時計があった。
そのデジタル時計には『6:55』と表示されている。
その表示を見た瞬間「もうすぐ7時よ」とそのデジタル時計から女性の声が聞こえてきた。
この薔薇時計は親切だなと思いつつも、腋に赤い薔薇が咲いているという事実に恐怖感を覚えた。
それと同時に、抗えない強烈な睡魔が襲ってきて、二度寝の体制に入ってしまった。
再度、目が覚め、気がつくと彼女が、腋の下で縮こまっていた。
ちらっと目が合うと「おはよ。もう7時過ぎてるわよ」と薔薇の香りのする彼女が言った。
『腋の薔薇時計』の正体がわかり、「ふふふ、おはよ」と夢を思い出しながら僕は答えた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※裏お題が先になりました!
*この記事は、以下の企画に参加しております。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。