二重人格ごっこ【毎週ショートショートnote】
とある世界のお話し。
音楽療法、芸術療法、箱庭療法に次ぐ療法が開発された。
「二重人格ごっこ療法」だ。
頭のとある場所に電気信号を送ると潜在意識にあるもう一つの人格が表出する。
その者の精神の中でもう一つの人格と対話を行い精神の安定を求めるというものだ。
表出される人格にはいろいろ種類があり性格も様々だ。
実は今日俺は「二重人格ごっこ療法」を受けに来た。もう手術台に寝ていて電気信号を打たれた。
さっそく、もう一人の人格が表出してきた。
「はじめまして。とろりとした闇から掬いだしてくれてありがとう。君の涙を掬いたいよ。ずっと闇から見ていたよ。闇が僕に溶け込み、闇に縛られていたよ。だけど、その闇は静謐であり厳然としていて、僕はそれを悪と呼べず、掬えなかったんだ。君の涙を。闇の中で君の涙だけが明るく輝いていたよ。いつかそれを話したいと思っていたんだ」
彼は俺にいきなりそう話した。
「えっ、あなたはもしかして小説家ですか?」俺は答えた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※架空SFにしてみました。
※もう一人の人格が表れ、レトリックを多用してきて、それに主人公がびっくりしたというのを書いてみたかったです。ただ、言うほどレトリックを多用もしてないような気もしますし、僕の文章力のなさで皆様に内容が通じるかが心配です。
※もちろん内容はフィクションです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。