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gentle_zinnia824
デジタルバレンタイン【毎週ショートショートnote】
「ねぇ、キスして」
「え、でも……まわりに人がいるよ」
「いいじゃない。今日はバレンタインなのよ」
「じゃあ、いいよ。こっちきて」
背の低い彼女は小さい体をこちらに向けた。彼女の顔が近づいてきて、長い睫毛が僕に当たりそうになりながら、僕らのくちびるは重なった。
「ふう」照れた顔の彼女は、僕を見つめている。
「満足した?」
「満足したわよ」
「あっ、流れ星だ!」
「ほんとだ。あっちにも流れ星!今日はすごいね。そして、満天の星空よね」
彼女が星空を見上げ、目を輝かせている。
「こんなに満天の星空が見れるなんてだね」
「ずっとここにいたいわ」
「そうだね」
そのとき、急に星空から、国生さゆりの『バレンタインデーキッス』が流れてきた。
「バレンタインデーキッス~リボンをかけて~シャララ~」
彼女をふと見ると、それに合わせてフロスダンスを踊っている。
「あ、もうログアウトするよ」
仮想空間で行われたデジタルバレンタインイベント。
僕はVRゴーグルを外した。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※現実と変わらない、むしろ現実よりも美しい仮想空間。映画マトリックスのようなものが将来的に現れるのでしょうか。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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