夜光おみくじ【毎週ショートショートnote】
「あっ、おみくじコーナーよ」
初詣のお参りが終わり、二人は境内を歩いていた。
「変わったおみくじがあるわね」
「夜光おみくじだって、夜光塗料が塗ってあるみたいよ」
二人はその夜光おみくじを買って、木に結びつけた。
「もうすぐ日が暮れるから、もうちょっと待ってみようか」
「うん」
*
「わあ、きれい」
光っている薄緑色はぼんやり明滅しているように見えた。
「まるで冬の蛍だね」
「そうね」
おみくじの一匹がふらふらと動き出し、ぱっと空を飛んだ。
「あっ、あそこ。飛んでる」
「おお、ほんとだ」
よく見ると小さい子供が夜光おみくじを持って走っていただけだった。しかし、二人にはまるで本物の蛍のように見えた。
「日本で蛍を見れる自然は少なくなったからね」
「まさかこんなところで見れるとはね」
彼女を見ると手のひらでまるく空間を作って、何か捕まえたようなしぐさをしている。
「何かをつかまえたの?」
「つかまえたよ、本物の蛍」
「ほんと?」
「うそでーす」
「こいつ~」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※地の文をメインに勉強していきたいと思います。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。