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てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショートnote】

その絵は、空を溶かしたような青だった。

僕が小さい頃からずっとそこにあったその絵は、母が描いたものだった。

母は僕が生まれてからは絵は描かなくなったらしいが、その理由は聞いていない。

その絵の中には建物があり、その窓にはてるてる坊主が描かれている。

そのてるてる坊主の下には、ハート型の封印がしてある封筒が描かれている。

それは、まるで『てるてる坊主のラブレター』のようだった。

僕はその絵は好きじゃなかった。

なんだか母の潜在的な性的なものを見せられているようで嫌だった。

僕は小さい頃からなるべくその絵は見ないようにしていた。

そして、母が亡くなった。

父はその絵について教えてくれた。

母が僕が生まれたときに描いた絵らしい。

「その絵を良く見てみろ」と父が言ってきた。

僕がその絵に近づいてよく見てみると、ラブレターには僕の名前が書いてあった。

母は僕宛に送っていたのだ、ラブレターを。

「今、受け取ったよ」

僕は父に聞こえないようにつぶやいた。


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ うまくまとまらなかったです。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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深遠 たた
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