火星の別件逮捕【毎週ショートショートnote】
「今度、水星と二人で図書館に行ってくるよ」
僕らは高校の天文学部の部員だ。
部員同士は惑星名を使って隠語的あだ名で呼び合うことがある。
「お前、図書館の次はプラネタリウムだろ」
「まあな」
「出た!火星の別件逮捕」
「なんだよ。別件逮捕って」
「どうせプラネタリウムのあとは本物の夜空を見に行くんだろ」
「まあ、そうだけどな」
「じゃあ、別件逮捕じゃん。別件逮捕した後に仲良くなってから本逮捕だな」
「逮捕っていう言い方が気になるけど、まあ狙ってはいるよ」
「水星ちゃんは地味でメガネだけど背が低くて可愛いからな」
「そうなんだよね。俺も背が低いから合うんだよね。まあ、図書館に行ってみて感触をつかんでくるよ」
「まあ、結果は教えろよ」
「了解」
ー後日
「図書館行ってきたよ」
「おお、どうだったんだ?別件逮捕できたか?」
「いや、逆に水星に逮捕されたよ。あ、告白されたっていう意味ね」
「おお、おめでとう」
「次は二人で愛の刑務所に入るかな」
「うるさいよ」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※SFの内容にしようと思いましたが、少しはずして青春小説にしてみました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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