深煎り入学式【毎週ショートショートnote】
「みなさん入学おめでとうございます」
「きゃあ~かっこいい~」と黄色い声が飛んでいる。
「入学祝いで皆さんに深煎り珈琲を贈りたいと思います」
入学者に珈琲が配られた。
「あれ、誰?」私は渡された珈琲を飲みながら友人に尋ねた。
「あなた知らないの?生徒会長で銅明寺珈琲グループの御曹司の銅明寺様よ」
「知らないなあ」
「あっ、銅明寺様がこっちに来た」
突然、友人がビンタされた。
「おまえ、深煎り珈琲を飲んでいないだろう」
「す、すいません。深煎りは苦くて、私は苦手なんです」
「あんた、いきなり何するのよ!」と私は銅明寺のみぞおちをグーで殴った。
「おま、おまえ!」銅明寺の顔が真っ赤になっている。
「何よ。アンタなんか怖くないわよ」
「お前!今度粗挽きにしてやるからな」
「粗挽きって何よ。ベーだ」
銅明寺は私の顔を見て、さらに顔が赤くなりすぐにその場から去った。
「あなた、目をつけられたわよ」
「えっ」
私の学校生活は苦い『深煎り入学式』から始まった。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※ 「花より団子」オマージュです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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