数学ダージリン【毎週ショートショートnote】
「お母さーん!集中して数学の勉強ができないよ。何かいいものない?」
「しょうがないわね。ちょうどいいものがあるわ」
「えっ、本当?」
「ちょっと待ってなさいね」
母親はキッチンの棚から四角い金属缶を取り出して持ってきた。
「テッテレー。数学ダージリン!」
「これはなあに?」
「これを飲むと集中して数学の勉強ができるようになるダージリンティーよ。この『数学ダージリン』を淹れてあげるわね」
金属の蓋をぎっと開けると、ふわっとダージリンの香りが漂った。
「いい匂いね」
「すごくいい匂い!」
母親が茶葉をスプーンですくって、ティーポットに入れる。そして熱湯を注ぎ3分経った。
「できたわよ」
「綺麗な色!」
娘は目を輝かせて、ダージリンを眺めた。
「この『数学ダージリン』を机の上に置いて数学の勉強をしてみなさい。1時間は集中して勉強できるわよ」
「お母さん、ありがとう!」
娘はダージリンを持って部屋に向かった。
「ふう。明日は『英語アールグレイ』かしら」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※『数学ダージリン』がドラえもんの道具にありそうなので、そこに着想を得ましたが、書いていくうちにプラシーボ効果のようになりました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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