建設の頓珍漢【毎週ショートショートnote】裏お題
僕には秘密の場所があります。
山のふもとの森の中にあり、まわりを樹木に囲まれた池。
ぽっかりとした空間になっていて太陽光が注ぎ込んでくる。
水は池の底がはっきりと見えるくらい透明で、山の伏流水が湧き出てきていてとても澄んでいる。
まわりにはミントのようなハーブが群生している。
ミントのすーっとした香りと、オレンジのような柑橘系の香りを感じることができる。
僕は時々訪れ、いつしかそこは僕の心の拠り所になっていました。
ある日、雷鳴のような轟音が森に響き渡りました。
その音はA建設という建設会社が樹木の伐採を始めていた音でした。
ーうおお、A建設の頓珍漢!
僕はそう思いました。
だけど、実はA建設は全然悪くないのです。
その工事は市議会、市長が決めたのです。
そして、その市議会議員と市長を選んだのは市民なのです。
議会制民主主義のことも知っています。
僕は市民を責められない。
たとえ責めても何も変わらない。
僕は無力なただの一羽の鳥なのですから。
(410字)
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※比喩なのか擬人化なのか、誤謬を誘う余韻。そして若干の諷喩。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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