イカ室たぎった【毎週ショートショートnote】裏お題
「君はイカ室で働きたいんだね」
イカ室長は就職面接で温和な声で俺に尋ねた。
「はい。僕はずっとイカ室で働きたいと思っていました」
「よし、いいだろう。明日から働けるか?」
「はい、大丈夫です!」
「そうか。じゃあ、今ちょっとイカ室見ていくか?」
「はい、ありがとうございます」俺は嬉しくなり天にも上る気持ちになった。
その瞬間、大きな音を立てて事務所のドアが開いた。
「室長!大変です!イカ室がたぎっています!」
「なんだとお、イカ室たぎっただとお」
イカ室長は眉間にしわを寄せ声を荒げた。
「はい、たぎっています!」
「おい、新入り。おめえは運がいいな。今日はイカ室がたぎってるぞ」
「た、た、たぎるってどういうことですか?」
「まったくもってちょうどいいや。そこにおめえに合いそうな耐熱服あるから着ろ!早く!」
言われるがまま人生で初めての耐熱服を着て、俺は不安を感じていた。
イカ室から何かの咆哮が聞こえてくると、イカ室長も鬼の形相で吠えていた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※そもそもイカ室ってなんでしょうか。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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