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【コメディ】コンタクトは突然に!

主人公のエリは宇宙飛行士ですが、全人類の代表として大役を任されることになりました。
それが、人類が初めて遭う異星人との交渉。
しかし目の前に現れた異星人は、彼女が想像していた姿とは違っていました。
そして、異星人との間で地球の存亡をかけたやりとりが始まります。
果たして彼女は自分に課された役目を全うすることができるのか!
これまでSHINE de SHOW、SHINE de SHOWを楽しんで来ていただいたリスナーのみなさんならニヤリとできる、シリーズの集大成的SF感動大作です!
お楽しみください!

*************

ジャンル:コメディ

出演

  • エリ:村木芳

  • ジェームズ・T・仙町:斎藤充崇

  • AI:美濃部裕里香

  • 管制官:山本憲司

スタッフ

  • 作・演出:山本憲司

  • プロデュース:田中見希子


『コンタクトは突然に!』シナリオ

登場人物
 エリ(67)
 ジェームズ・T・仙町(50)
 AI
 管制官

管制官「大丈夫か、エリ」
エリ「ええ、準備はできたわ」
管制官「こちらからは君のすべてがモニターできている」
エリ「オーケー、任せて」
エリM「とは答えたものの……わかってるでしょ? 私の心拍数や脳波が見えてるんなら、私の緊張感がどれほどのものか。それにしてもどうして私が全人類の代表なの! 誰にともなく怒りが湧く。私はただの宇宙飛行士。たしかに、月面で異星人の遺跡を発見して作動させてしまい、異星人に地球を侵略されるきっかけを与えてしまった、その原因が私であることは疑いようのない事実。ではあるのだけど……」
   ドアが開く。
エリM「おもむろにドアが開いた。私が今いる地上400キロに浮かぶ国際宇宙ステーションと、そこにドッキングした異星人の船をつなぐ通路のドアだ。いよいよ異星人が乗り込んでくる。震える足を押さえると、床の下に広がる青い地球が目に入った」
エリ「ハッ」
エリM「人類が初めてコンタクトする異星人。その異星人から、地球を滅亡させると人類は脅されている。この異星人と交渉しなければならないのが私。しかし……」
エリ「え? 人……間?」
仙町「うおぉーっ! 地球だぁーっ!」
エリ「日本語?」
エリM「そうか。高度な文明なら我々地球人との意思疎通など朝飯前。人間の姿なのも、きっと我々が親しみやすいように──」
仙町「なっつかしぃ〜!」
エリ「え……」
仙町「君か? エリというのは」
エリ「あ、は、はい……」
仙町「いやー何年ぶりだろー!」
エリ「え? え、え、あの、初めてじゃないんですか? 地球」
仙町「初めてって私が宇宙人かなんかに見えるか?」
エリ「地球人、なんですか?」
仙町「失礼だな。どこからどう見ても人間だろ!」
エリ「しかも日本人なんですか?」
仙町「日本人という概念は古くてよくわからないけども、日本語ネイティブとは言えるかな、うん」
エリ「そのようですね」
仙町「今は西暦何年だ」
エリ「今は2085年ですが……」
仙町「マジかーっ! なんてこった!」
エリ「どうかしました?」
仙町「とりあえずそんなことはいい。とにかく私の話を聞いてくれ!」
エリ「ちょっと待ってください!」
仙町「なんだ!」
エリ「その前に、地球をどうする気ですか!」
仙町「地球? どうするって?」
エリ「あなたがたは、地球をその……侵略しにきたんですよね?」
仙町「侵略? 誰が。私が?」
エリ「ええ」
仙町「そんなことするわけないだろ! つかできるわけないだろ私に!」
エリ「じゃあなんなんですか! あのメッセージは」
仙町「メッセージ?」
エリ「これですよ!」
仙町「『私たちを受け入れなければ地球は滅びる』あー、はいはい。これね」
エリ「これねじゃないでしょ。あなたでしょ書いたの」
仙町「書いた書いた」
エリ「地球は滅びるって書いてるじゃないですか!」
仙町「地球を滅ぼすとは書いてないだろ!」
エリ「あなたが滅ぼすんじゃないんですか!」
仙町「違う違う。全っ然違うよ!」
エリ「ではどういう意味ですか!」
仙町「誤解があるようだね」
エリ「誤解ですって?」
仙町「大体まずさあ、私のこと宇宙人だと思ってたんだろ?」
エリ「はい」
仙町「突然宇宙人が現れて『受け入れなければ地球は滅びる』と言えば、そりゃそう思うわな」
エリ「はい」
仙町「でもね、私は今言ったように地球人なわけ」
エリ「でも地球人なんだったらIDで認識されるはず」
仙町「そこだよ! 私は24世紀から来たわけ。そしたら21世紀に登録はされてないだろ?」
エリ「に、24世紀?」
仙町「せっかく地球に戻ってきたのにさあ。排除するんだから。ったく」
エリ「受け入れなければってそういう意味ですか」
仙町「地球人だって言ってんのに!」
エリ「地球に戻ってきた? そもそもどうして未来から? それで受け入れられないとどうして地球が滅びるんですか?」
仙町「多い多い。質問が多い!」
AI「代わりに、私からお答えしましょう」
エリ「え? あなたいつから?」
仙町「ああこいつはホログラフィだ。今私がONにしたんだ」
エリ「え、リアルぅー。あ、ほんとだ手が透ける」
仙町「こいつは操縦士のAIでね。本体はこれなんだ」
エリ「このピンポン玉みたいなちっちゃいのが本体なんですか?」
仙町「でもこれだとさみしいだろ? だから人間の女の姿としてそばにいてもらってるわけだ」
AI「センチョー、私ごときの説明は結構ですので」
仙町「またしおらしいことを言う〜」
エリ「あなたは、船の船長なんですね」
仙町「船長などいない。脳波ちょくの自動航行だからな。私の肩書はプラネットエクスプローラーと言ってだね──」
エリ「でも、今船長と」
仙町「あ、そうだ。申し遅れた。私の名前はジェームズ・T・仙町せんちょう。仙人の仙に町と書いて仙町せんちょうだ。こいつはいつも私をセンチョーと呼び捨てにするんだ」
AI「それは私の意思ではなくバグでして──」
仙町「いいから説明しろ」
AI「はい。24世紀には『惑星探査プロジェクト』というものがありまして、地球から全宇宙に一千を超える探査ユニットが放たれました。その一つがセンチョーと私なのです」
エリ「惑星探査プロジェクト?」
AI「24世紀の地球は、人口増加と自然破壊でその環境は末期的なレベルになっておりまして、地上に住みたくない富裕層は大気圏外に浮かぶスペースコロニーに移住しています。しかし、人間は大地を求めており、地球に替わって住める惑星を探すこととなりました。それが、私たちの使命です」
エリ「なるほど」
仙町「そして私は長い旅路ののち、М31と言われるアンドロメダ銀河の中心部でついに見つけたんだ。大気の組成も重力も地球の環境とそっくりな『オチャタチョチャタチョ星』をね!」
エリ「オチャタチョチャタチョ星という惑星があるんですね!」
仙町「私がオチャタチョチャタチョ星を見つけた時に私の宿敵から攻撃を受けたんだ。そのせいで時空をさまようことになってね。ちょうどその時、月から信号を受け取ったのだ」
エリ「それが、私が月の裏側で発見した遺跡……」
AI「そこからあなたのデータが発信され、私たちが受け取っ──」
仙町「ちょっと待て! 遺跡だと? 24世紀の人類が月に設置した発信装置だぞ!」
エリ「24世紀のものがなぜ21世紀の月に」
仙町「……時空の歪みが出来てしまったんだ! なにしろ私も江戸時代まで戻ってしまったぐらいだからな」
エリ「江戸時代?」
AI「そのあたりの経緯につきましては、シャイン・デ・ショーのオチャタチョシリーズ3作品をさかのぼってお聞きください」
エリ「は?」
仙町「聞き流せ!」
エリ「シャイン・デ・ショーとは?」
仙町「とにかく、月からの信号を受け取る時はいよいよ地球の危機だと聞いていたので、私はワープにワープを重ねて急ぎ地球に帰還したのだ! そしたらこの有り様だ!」
エリ「つまり、センチョーさんは、地球が崩壊の危機を迎えていることを知って地球に戻ってきた。でも24世紀ではなく21世紀の地球だった。そういうことですか……」
仙町「よくこのわけのわからない事態が飲み込めたな!」
AI「素晴らしいです!」
エリ「飲み込んではいませんが」
仙町「とにかく、そういうことだ!」
エリ「(無線を受信)え? あ、はい。はい……はい!」
仙町「どうした!」
エリ「(嬉々として)地球の人類が喜んでいます!」
仙町「喜んでる?」
エリ「だって、さっきまであなたを異星人だと思って、地球が滅亡させられるものだと覚悟してたんですから。あははは」
仙町「喜んでいる場合か!」
エリ「え?」
仙町「だから私の話を聞けと言ったろう! 地球が滅びるのだ!」
エリ「でもそれは24世紀の話では?」
仙町「何をノンキなことを言っているんだ。君は24世紀にあるはずの発信装置を月の裏側で見つけたんだろ? すでに時空は歪んでるんだ! 地球崩壊の危機なのだ!」
   爆発!
   警報音がけたたましく鳴り始める。
三人「うわーっ!」
仙町「来たか、カナダ・グラナダめ!」
エリ「え?」
仙町「時空が歪んだのはおそらくこのカナダ・グラナダの攻撃のせいだ!」
エリ「カナダ・グラナダとは一体なんなんですか!」
仙町「私の宿敵、マサチューセッツ州のカナダ・グラナダだ!」
エリ「マサチューセッツ州のカナダ・グラナダ?」
仙町「カナダ・グラナダは私と違って低所得者層出身なのだ!」
エリ「低所得者層出身なんですか!」
仙町「マサチューセッツ州低所得者層出身のカナダ・グラナダだ!」
エリ「マサチューセッツ州低所得者層出身のカナダ・グラナダ?」
仙町「マサチューセッツ州出身ならアメリカ人だと思うだろ。しかしアメリカ人ではなくトリニダードトバゴ人なのだ!」
エリ「なんですって? カナダ・グラナダはマサチューセッツ州低所得者層出身のトリニダードトバゴ人?」
仙町「その通りだ!」
エリ「しかしどうしてマサチューセッツ州低所得者層出身トリニダードトバゴ人のカナダ・グラナダがここを攻撃するんです!」
仙町「を攻撃しているんだ!」
   爆発!
三人「うわーっ!」
AI「センチョー、このままでは持ちません!」
仙町「騒ぐでない!」
AI「お騒がしてすいません! お騒がしてすいません! お騒がしてすいません!」
仙町「お前、壊れたのか!」
AI「詳細を調査中です! 詳細を調査中です! 詳細を調査中です!」
仙町「詳細を調査中なのはわかった!」
エリ「どうすれば!」
仙町「攻撃を止めることはできない!」
エリ「そんな!」
仙町「もう覚悟を決めてくれ!」
エリ「でも、まだやれることがあるはずです!」
仙町「そんなものはない!」
エリ「地球を見捨てろって言うんですか?」
仙町「仕方がないだろう! 私も今まで何も防ぐ手立てがなく、攻撃されっぱなしなのだ!」
エリ「では、何もせず手をこまねいているしかないんですか!」
仙町「しょうがないんだ!」
エリ「でも、でも……私はあきらめたくないです!」
仙町「わからんやつだな!」
AI「センチョー!」
仙町「なんだ!」
AI「攻撃がやみました!」
仙町「ん? 本当だ」
AI「センチョー、もしかして」
仙町「どうした」
AI「これは私の仮説なのですが、攻撃対象はセンチョーではないのではないでしょうか」
仙町「なに?」
AI「つまり、噛んだ・・・からなのではないかと」
仙町「噛んだ?」
AI「だとしたら、噛まずに言い切ることさえ出来れば回避できるのではないでしょうか。マサチューセッツ州低所得者層出身の(噛む)」
   爆発!
AI「ほら! 今私が噛みました」
仙町「何だって? そうか……まさかそうだったのか。なるほど!」
エリ「こんなに簡単に納得していいんですか?」
AI「センチョーは是々非々主義ですからね!」
仙町「ああそうだ。私は是々非々主義だからな!」
エリ「是々非々主義なんですね!(噛む)」
   爆発!
三人「うわーっ!」
仙町「滑舌をしっかりしろ!」
エリ「すいません!」
仙町「こんなことでは攻撃を防ぐことはできないぞ!」
エリ「私、国語熟語述語主語が昔から苦手なんです」
仙町「なに? 国語熟語述語主語が苦手だと!」
エリ「はい! 国語熟語述語主語がうまく出来ません!」
仙町「国語熟語述語主語ができなくても、そんなのは理由にならない! これは高所得生産者層の申請書審査を急遽当局が許可却下するような問題とは違うのだ! 集中だ! 言葉を大切にして集中して言うことで乗り越えることができるのだ!」
エリ「はい! 高所得生産者層の申請書審査を(噛む)」
   爆発!
エリ「すいません! 高所得生産者層の申請書審査を急遽当局が許可却下するようなものとは違うんですね!」
仙町「そうだ!」
AI「(異変に気づき)センチョー!」
仙町「うう……体へのダメージが……」
AI「爆発の振動ですね!」
仙町「そうではない。これだ」
AI「肩叩き機?」
仙町「肩固かったから買った肩叩き機肩叩きにくかったからだ」
AI「なんと! 肩固かったから買った肩叩き機肩叩きにくかったからですか!」
仙町「そうだ! 肩固かったから買った肩叩き機肩叩きにくかったからだ!」
エリ「肩固かったから買った肩叩き機肩叩きにくかったからですね!(噛む)」
   爆発!
仙町「舌をなめらかに回さないか!」
エリ「すいません! 肩固かったから買った肩叩き機肩叩きにくかったからだ!」
仙町「できるじゃないか!」
エリ「ありがとうございます!」
仙町「いいか! 24世紀の私たちも21世紀の君たちも同じ地球人だ! それはたとえば貨客船の旅客か旅客機の旅客かどちらの旅客かを問うのと同じだ! 我々は同じ旅客なのだ。そのことが大事なのだ!」
エリ「はい! 貨客船の旅客か旅客機の旅客かどちらの旅客でも一緒ですよね! 同じ旅客なんですよね!」
仙町「そうだ!」
AI「センチョー、私の仮説が正しければ、これは可逆反応の逆不可逆反応、不可逆反応の逆可逆反応、可逆反応も不可逆反応も化学反応です!」
仙町「たしかにそうだ! いいか、地球は君に託した!」
エリ「え?」
仙町「私とこいつは時空の歪みを正す!」
エリ「どうやって!」
仙町「これは可逆反応の逆不可逆反応、不可逆反応の逆可逆反応、可逆反応も不可逆反応も化学反応なのだ!」
エリ「可逆反応の逆不可逆反応、不可逆反応の逆可逆反応、可逆反応も不可逆反応も化学反応? どういう意味ですか!」
仙町「君はただこれからの地球のことだけを考えろ!」
エリ「あなたは!」
仙町「うまく行けば私はこの場から消える!」
エリ「なんですって?」
仙町「短い時間だったが昔の人類に会えて楽しかった!」
エリ「センチョーさん!」
仙町「さあ君の舌にかかっている!」
エリ「はい!」
仙町「行くぞ!」
AI「行きましょう!」
仙町「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ!」
AI「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ!」
エリ「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ!」
三人「かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ!」
   時空がねじれていく。
三人「うわーーーーっ!」
   強烈な光に包まれる。
   静寂──
エリ「……ハッ」
エリM「気がつくと、センチョーさんもAI操縦士も、彼らが乗ってきた船もあとかたもなく消えていた……」
管制官「エリ。大丈夫か、エリ!」
エリ「ええ。地球の人々にもう大丈夫だと伝えて。陸人りくと
管制官「君のおかげだ、エリ。君は地球を救ったんだ」
エリM「後日、私が発見した月面の発信装置も消滅したことがわかった。時空の歪みはなくなったようだ。幻のように全ては消えた。元の地球に戻ったのだ。あの日、あの時、あの場所で会った二人はどこかで元気にしているのだろうか。そして、来たるべき24世紀、地球は果たして彼らの言う通り滅亡に向かうのだろうか」
                               〈終〉

シナリオの著作権は、山本憲司に帰属します。
無許可での転載・複製・改変等の行為は固く禁じます。
このシナリオを使用しての音声・映像作品の制作はご自由にどうぞ。
ただし、以下のクレジットを表記してください。(作品内、もしくは詳細欄など)
【脚本:山本憲司】
オリジナルシナリオへのリンクもお願いします。
また、作品リンク等をお問い合わせフォームよりお知らせください。

*番組紹介*
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