絵本がくれる”子どもの目”
絵本を読んでいて、私がいいなあと思うのは、「子どもってこんな風に感じているのかも?」という視点をもらえること。そんな風にハッとしたことって、ありませんか。
例えば雨の本。
『あめかな!』では雨の表現に様々な色が使われています。
この表紙だけでも、青、緑、紫…そのどれとも決められない多様な色合い。水彩で描かれたとても美しい絵本。
『どしゃぶり』の音の表現もすごい。
ぼつっぼつっ ずぼぼぼ こおおお
大人がパッと思いつかないようなオノマトペもたくさん出てきます。
でも、忘れているだけで、実は自分たちも子どもの頃はそんな風に色々なことを感じていたかもしれません。灰色の空を見上げ、『おんなのことあめ』のように雨雲との会話を想像して楽しんでいたかもしれない。
ところが、知らず知らずのうちに、大人の常識や周囲から受ける既成概念のインプットで、その感性やイマジネーションが封じ込められてしまう。雨が降る音はザーザーで、雨の色を青で描くと誰が決めたのでしょう?
子どもの感覚は大人よりずっと鋭敏で、豊かな感性を持っていると思います。でも、幼いうちは、言葉でのアウトプットがまだ上手ではないので、私たちは普段それになかなか気づけません。
本当は、頭の中で考えや、心で感じていることがたくさんあるのに。
絵本やアートの表現は、子どものその内なるものを受け止めて発散させてくれる役割がある気がします。
たぶん、絵本作家さんというのは子どもの頃の感性を保ったまま成長した方も多いのだと思います。だから、絵本を読むと、ハッとさせられる。成長するに連れ大人が封じ込めてしまった感性を呼び戻して、自分の視点を子どもに近づけてくれるような気がするんです。
ちょうど、道端にしゃがみ込んで何か「見つけた!」と呼びかける子どもの側に寄り添うように。顔を近づけ、その視線の先に何があるのかと、じっと目を凝らすように。
絵本を子どもと一緒に読むことで、隣に座る我が子との心の距離感がグッと縮まっている。そんな感覚が、子どもと絵本を読むことを幸せに感じさせてくれるのかもしれません。私が絵本に感じている、醍醐味のひとつです。
絵本を真ん中に、子どもとコミュニケーションするのは、やっぱり楽しいのです。
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