
第7回京阪神歌会 吟行録
2024年6月2日、京大短歌・大阪大学短歌会・神戸大学短歌会が持ち回りで開催している京阪神歌会の第7回目が行われました。
今回の吟行会・歌会には計15名が参加し、前半は須磨エリア(須磨浦山上遊園~須磨海岸~須磨離宮公園)を散策し吟行会を行い、後半は場所を会議室に移して自由詠一首の合同歌会を行いました。
各参加者がつくった吟行詠のうち一首を以下に公開します。
波打ち際 いずれあなたを脅かすスポーツの大好きな子どもたち
錆びついたBGMは切れ切れで繁みに回る回転喫茶
屋内も家ごと廃屋にしていくショベルカーのひとかきは凄まじい
砂浜に広がる令和の子の手から乾き始めている城の砂
汗ばんだ登山の後の人を乗せすました顔で降りるうみひこ
「薔薇色の人生」という薔薇があるから人間色に生きる人間
すこしずつ間違っている僕にだけやさしいバラも散るということ
シンメトリーな水シンメトリーな樹木去勢されたアシンメトリー
わたくしのため咲く薔薇の面前で雀に目移りをするわたくし
唇のめくれた跡を気にしつつ話題の一つとしての薔薇園
傷口を海にひたせばいつか降る雨のひとつに私の涙
あまつさえ行く当てもない少年は ただ庭園を黒く塗るのみ
あたしよりずっと生きてるロープウェイ 泡の中に匂い残して
山に這う海の景色がだんだんと小さくなって(いや大きくなって)