デフレ/インフレ期の日銀成績評価
先日の日曜討論(2023.02.19)で、岩田規久男元日銀副総裁が、デフレ期とインフレ期の消費者物価指数の平均値(消費税調整済)に言及されていました。
実際にデータを使って、デフレ期(1998~2012年)、インフレ期(2013~2019年)の消費者物価指数を見て、日銀の成績を評価してみたいと思います。
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ポイント
1. 黒田日銀でインフレ率上昇↑
2. 旧日銀のインフレ率マイナス
3. 旧日銀の仲間はヤブ医者?!
データ出典は、統計局の以下のデータです。
(参考値)消費税調整済指数 https://www.stat.go.jp/data/cpi/1.html#tax
1 デフレ期/インフレ期の平均値
消費者物価指数の総合、コア(生鮮食品除く総合)、コアコア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)、欧米型コア(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合)で平均値をとりました。
デフレ期は見事に全てマイナスです。
黒田総裁になってからのインフレ期は全てプラスです。
デフレ期に日銀執行部や理事を務めた人(白川方明氏、早川英男氏など)や、デフレ期の日銀の金融政策を擁護したメディアやエコノミストに、黒田日銀を批判する正当性が有るとは、とても思えません。
推移をグラフ化したのが図1です。
デフレ期(1998~2012年)も2008年に原油高などで、コアCPIは2%を超えましたが、欧米型コアはゼロ近傍でした。
インフレ期(2013~2019年)は、欧米型コアでも1%近くに上昇しています。(直近、2023年1月は1.6%のプラス)
藻谷氏の著書「デフレの正体」には、人口減少がデフレの原因かと錯覚するような記述がありました。
(削除されてしまったネット記事で、著書のタイトル「デフレの正体」は出版社が付けたもので、耐久財の価格下落というミクロ経済の話題に言及したもの、と「弁明」をなさっていたとか)
2013年以降、日本の人口が増えたんですかね。。。
2 白川日銀 vs 黒田日銀
白川日銀総裁時代は4つの消費者物価指数の平均値が見事にマイナスに。
黒田日銀の任期は、消費者物価指数のデータが取れる2022年12月までとして、計算しています(実際の任期は2023年4月8日まで)。
白川方明日銀は「デフレ維持元」の金融政策
黒田東彦日銀は、(先進国では通常あり得ないデフレ維持という旧日銀から見ると)「異次元」の金融政策
2.1. 平均値
2.2. 物価指数の値の範囲
任期年月数をそれぞれ仮置きし、その期間内で、
-2%~0%未満
0%~2%以下
に該当する月数別にカウントしてみました。
この月数を人気期間の年月数で割り(黒田日銀は、2013年4月~2022年12月。消費者物価指数の最新の期間に合わせた)ました。
白川元日銀総裁は、消費者物価指数のコアコア、欧米型コアともに、70%以上の割合で、-2~0%未満の範囲に(狙い通り?!)制御していた、という恐るべき結果を出しておられます。
感想など
改正日銀法が1998年から施行され、日銀は過度の独立性を謳歌していたのかもしれません。
元FRB議長で、ノーベル経済学賞をとった、ベン・バーナンキは中央銀行の金融政策の独立性には2種類あると述べています。
①目標:政府(と共同で中銀)が決定
②手段:中銀が決定
改正日銀法以降は、デフレを目標にしたかのような金融政策が行われ、見事にデフレを維持しました。
デフレを長い期間維持した先進国で唯一無二の国、そこには、日本銀行があったそうです。
先進国並みの金融政策の目標を政府と定めた共同声明を見直す動きが報じられています。
安倍晋三総理大臣が、デフレ脱却をかかげ、先進国の主流派経済学では当たり前の政策を取っただけで、デフレとは言えない状況が出来ました。
アベノミクスの大胆な金融緩和は、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン、スティグリッツ、バーナンキが提唱・支持していた内容です。
この金融政策を批判してきた、学者、メディア、エコノミスト、旧日銀関係者の残念なレベルを白日の下に晒してしまった、アベノミクス。
どうりで、残念な人たちが一生懸命に批判するわけです (^-^)