すすむ屋茶店「L」に込めた思い。鹿児島で新業態をはじめる意義。
こんにちは。
いつもnoteを見ていただきありがとうございます。ここでの活動は、僕の頭の中の整理整頓になっていると同時に、最近では、方位磁石にもなっているような気がしています。
それと、重要なのが、すすむ屋茶店を応援してくれている人達がたくさん見てくれている。その方たちにどんな人が運営をしているのかを知っていただくのはいいと思うし、更に言えば、すすむ屋のクルーも見てくれているから、皆へのメッセージにもなるからね。
というわけで、今日もゆっくりと書いていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。今回は、先日のプレスリリースでも紹介した新業態「すすむ屋茶店L」について、オープンに至るまでの経緯や背景をご紹介いたします。
体験型・日本茶専門店
今回の構想「体験型・日本茶専門店」は、実はすすむ屋茶店が創業したころというか、その前から頭にあったんです。というのも、僕が日本茶の業界に入った時、美味しいと思ったお茶のほとんどが目の前で淹れていただいたお茶だったんですね。
※茶葉としては大したことなくても。目の前で淹れてくれて「どう?美味しいでしょ?」って聞かれたら「はっはいっ!」ってなってたかも。しれません。が。(笑)。
そして何より、淹れているところを見るのが好きだったんです。淹れ方が綺麗であれば尚いいし、雑に扱ってお湯をこぼしてしまったとしても、それはそれで楽しいと思った。コンテンツになると思ったんです。
そして、それ自体をお客様と一緒に楽しんだらいい。そのほうが楽しいかも。と思っていました。それがコンセプトの根底にあるんですね。
日本だけなのか、日本人独特の謙虚さなのか、地域差があるのか、分からないけれど、そういった頑張っているところ(笑)を隠すところがあると思うんですね。お茶の世界でいうと、奥の台所で淹れて、それをお盆にのせて運んでくる。みたいな。
それって、体験価値としては半減しているような気がしているんです。つまり美味しさ・楽しさも半減みたいな。逆にもともと美味しいお茶があれば、その体験は+α。1.5倍、いやそれ以上に美味しくなる。そう思っているんです。
だからこそ、すすむ屋茶店の1号店から、新しいお店まで。淹れているところが見れるように。皆の動きがよく見えるようにしています。クルーの一挙手一投足、すべての動きがコンテンツだと思うから。
ちょっとお湯をこぼしたとしても、堂々としていれば大丈夫。ちゃんと誤れば大丈夫。お客様はそれさえも楽しいはず。
そう思っているからこそ、今回は、お客様自身に体験していただくことがメインになる。もっと楽しくなるかもね。
天文館にお店をつくる。と決断するまでのストーリー
コンセプトもそうですが、鹿児島天文館にお店を出店することを決めるまでの話もまとめておきますね。
今年の11月でお店をオープンしてから10年を迎えるすすむ屋茶店。順風満帆とは程遠いものの、ここまで来ることができました。お客様とクルーのおかげです。
その間、都内での展開を始めたのですが、僕には忘れられないシ1つのシーンがあります。
それは、自由が丘店がオープンして間もないころ、狭い店内がお客様で満員になりました。たしかクルーも入れて8名程度だったと思います。
最後に、入店されお茶をご注文してくださったお客様が、「私、鹿児島出身で今は都内に住んでるの。鹿児島のお店ができたって聞いて自由が丘まで来たのよ。」とお声掛けをしてくださいました。
僕は、ついテンションが上がってしまい「実は、私も、隣にいるクルーも鹿児島出身なんです。」とお返しし、鹿児島の話をしました。
そうすると、一番奥でお茶を飲まれているお客様が。「実は、私も。」と。(笑)。そしたら更に、横の席の方がびっくりして。「私も。」と(笑)。
あとは、そう。ドミノ倒しの用に「私、鹿児島出身」
の声。店内にいるすべての人が鹿児島の人だったんですね。
そこにいた全員。大笑いしたことを記憶しています。
故郷を感じたのはその時だけではありません。私共が全国どこでもイベント販売や百貨店の催事販売に出かけるたびに、「私、鹿児島出身」「祖父が鹿児島」「娘が鹿児島に嫁いだ」等々、鹿児島にゆかりのある方が、たくさん駆けつけてくださり、購入していただきました。今現在もそうです。
それは、故郷から出てきて全国を舞台に頑張っている鹿児島茶のお店を応援して育ててあげなきゃ。というどこか不思議だけど、誰もがもっている親心のような愛情だと思います。
そして、その愛情を受け、お返ししなきゃと私たちも美味しいお茶づくりに励む。そうやって私たちのお茶は、磨かれていったし、磨きました。だってそうでしょ。そのお客様を後悔させたくはないから。
その関係は、とっくにお客様と日本茶店という関係を通り越していているのではとさえ思います。だからそう。鹿児島にお返ししなきゃという思いがこの10年でたまっていったんですね。だから、次は鹿児島にお店を作ろうと決めたのは今回の商業施設ができるずっと前、もう3年以上も前になります。
コロナ過で誰も出店しない。センテラス天文館との話を少し。
センテラス天文館ができる場所は、鹿児島の「タカプラ」という商業施設がありました。まさに市街地のど真ん中。このタカプラは、鹿児島で有名な待ち合わせのスポットして知られていました。タカプラ前に集合は、渋谷のハチ公前集合。のような感じ。(笑)。天文館は、鹿児島県の市街地の真ん中にある街で老舗百貨店も連なる、いわゆる昔ながらの繁華街です。
この天文館も時代の波におされ、シャッターが閉まってるお店が増えてきていました。更に今現在はコロナ。活気のあった時代と比べると寂しくなったのは事実です。でも僕の中で、鹿児島の次の出店エリアには天文館という思いがあってそれは変わりませんでした。天文館はやっぱり鹿児島県民愛着の場所だし、鹿児島に恩返しするのなら、一番愛着がある場所がいいと思っていたから。
さらに言えば、センテラス天文館の構想の段階から出店依頼があるだろうと思っていたので(笑)、出店依頼をいただいてから、割と早い段階で出店することを決めました。
ただ、その出店を決めてから、施設計画のタイミングでコロナ過。緊急事態宣言…。仕方のないことですが、多くのお店が出店計画を白紙にしたり、取りやめがあったようです。
ただ、僕らにとって外的要因は関係なかった。「どうやったら鹿児島にお返しができるか。」しか考えていなかったから出店を止めようと思ったことはありませんでした。
施設側も、私たちの考え方を気に入ってくれたのか、好きな場所を選んでください。と提案してくださいました。本当にありがたい話です。
世界有数の緑茶産地、鹿児島にお茶を体験できる場所がない。
鹿児島にお店を出さなければと思った理由のもう一つが、鹿児島にお茶を体験できる場所がない。もっとあっていいのでは。と思っていたからです。
だってそうですよね。世界有数の緑茶産地なのに、お茶を飲んだことがないって人がいたり、茶道具を触ったことのない人がまだまだたくさんいる。でもそれはその人たちのせいじゃないとも思っているんです。その環境を整えていない私たち茶業者がダメだと。
もし、世界中の誰もが鹿児島を「世界一の緑茶産地」として認める未来があるとすれば、現在の生産に偏った体制では絶対にダメだと思うし、足りないと思う。
それには、同じく世界一、舌の肥えたお客様がいる環境が必要だと思う。厳しい眼が必要だと思うよ。(笑)。サッカーのスペインリーグ、バルセロナのファンが、誰よりも自身の選手たちに厳しいようにね。そうじゃないとお茶の街だなんて到底言えないと思う。
そのはじめの一歩として、鹿児島の天文館にそういった環境を作る。意義があるし、楽しみだ。
店名「L」の意味。
今回の新業態、すすむ屋茶店Lと既存のすすむ屋茶店との大きな違いは喫茶スペースがないことにあります。テイクアウトもなしです。それには茶葉を一緒に見て、一緒に体験をしたい。茶葉に集中したいという考えからです。
1つ目のL
1つ目のLは「LEAF」のLからきています。日本茶はやっぱり茶葉の状態から急須で淹れたものが一番美味しい。一番美味しい状態を提案するのが僕たちの使命だし、得意技だから。
2つ目のL
2つ目のLは「LABORATRY」(実験所)のLから来ています。この実験所をパブリックスペースにすることで、様々な日本茶との出逢いを提供したい。そう思っています。どんな出逢いが待っているか楽しみです。
3つ目のL
最後は、いろんな意味をかけています。愛らしい・ときめきとか。沢山出たキーワード。このお店を見た瞬間に、体温が少し上がるような、気分が上がるようなお店にしたいと思っています。最後のLは、すすむ屋茶店の全てに対する愛ですね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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