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『どんぶかっか』と、温泉郷

長野のわらべうた全集にザッと目を通していたら、『どんぶかっか』の情報に目が留まりました。
おふろの唄🛀というイメージが強いうたです。

どんぶかっか すっかっか
あったまって あがれ
河原のどじょうが こがいをうんで
あずきか豆か
つづらの子 つづらの子

(採譜:牛山弘志)

『日本わらべ歌全集(13巻)長野・岐阜』柳原書店


これがお風呂のうたではなく、〝温泉のうた〟と分類されているのが面白い!

えっ?!♨️  …………あぁ、長野だからか!!🤩
採譜は「諏訪市」になっています。温泉ありますね〜!!




温泉郷にとっての日常風景♨️


温泉の恵みが豊かな土地なので、向こうの人にとっての「おふろ」とは、共同浴場に行って温泉につかる……というものだったそう。😌 うらやましい!


「お母さん、もう上がっていい?」
「もう一回、歌ってからね」

そんな親子のやりとりがよく見られたのかしら。想像してみると和みますね。

芯まで温まったかな? と、たしかめて、お母さんが子どもをねんねこ半纏に包んで帰るのだそうです。
雪深い地方でもありますからね! 帰り道で湯冷めしないように、しっかり温まりたいのも分かります😌


歌だけ調べていたらもったいない!


最近、わらべ歌全集を借りたときには、もったいないから、最初から最後まで全部読むことにしています。
(全集、自宅には揃えられないので、いちいち図書館で借りております💦)


今までは、「うたを調べるための本」として、辞書的に使っていましたが……

〝冒頭〟と〝あとがき〟こそ、めちゃくちゃ面白くて勉強になるじゃん?! と、気づいてしまいました😁


冒頭というのは、「◯◯わらべうた風土記」と銘打って、うたの解説より前に、その県の地域性を解説してくれる頁のこと。

〝長野県はこういう地形で、人間の気質はこういう感じ。〟
〝街道沿いに文化がつたわるから、静岡・名古屋から上方の文化も流れてきてるよ。〟
(※文章は私の意訳です)


おもしろーい! ほほーん!

そういう長野わらべうた風土記をなんとなく読んでいくと、「諏訪地方には温泉場が多く、入浴のうた、温泉郷ならではのわらべうたは全国的に見ても珍しい」と書いてあり……。

しかもそれが、よく知る「どんぶかっか」だったので、私は大興奮してしまいました😆



うたを単体で見るのではなく、土地柄や、人の感触を知りたい


先に〝人間〟を知ろうとしないと、なんとなく、歌を学ぶことが形骸化してしまいかねない。と、最近よく思います。

要は、ひとつの歌だけを切り取ってしまうのではなく、
「気候風土が人間の気質をつくること」であったり、
「穏やかさの裏には忍耐があること」であったり……、

人の本質を嗅ぎ分けていくようなことを、面白がっていけたらいいのかな、と、考えています。勉強のモチベーションも上がるし、知ったこと理解したことを、縦にも横に繋げていける気がします。


だから、〝冒頭〟と〝あとがき〟こそ面白がって読みたい!

あとがき、って特に、執筆者の人間性がでますよね!! 全集のあとがき、大好きなんです。


長野県の担当は町田等先生で、あとがきの日付は昭和56年10月。

あとがきには「今の子どもたち、『うちのこんぺとさん』遊ぶとよく分かるけど、洗うは〝洗濯機をまわす〟ことだと思ってるんだよ〜」と、あるあるなエピソードを書いてくださっています☺️


「行動が変化していくところを見ると、現代の教育にわらべうたを生かすには、昔の遊びをどう反映させる? と考えるキッカケになるよね。」
(※内容、意訳です)

これを読んで、現実的だなぁ!と思いました。すごく好きです。
教育者として、実際にわらべうたを使っていた方なのだという情報が得られますね。

思い出の継承だけではなく、今後の発展を願っていたのでしょうか? なんとなく、伝わってくるものがあります。

これも、資料をよむ醍醐味!☺️
こういう喜びがあるから、やめられないなぁ、と思います✨


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