
【尽心上】238、孟子と公孫丑の対話(15)太甲を追放した伊尹
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*これまで何度か登場してきた伊尹(いいん)ですが、あらためて紹介すると、殷王朝創業の功臣です。伊尹は、殷の四代目の太甲(たいこう)が、暴君であったために、彼を追放して反省させてから再び王位に戻した、とされています。
この逸話について、今回は、弟子の公孫丑との対話です。
公孫丑は言った。
「伊尹は、言ったそうです。
〈私は、太甲が、道にしたがわないことに堪えられない。〉
そして、太甲を桐(とう)の地に追放しました。すると民は大変喜んだそうです。
それから、太甲が反省して賢者になると、今度は太甲を戻しました。すると、これまた民は大変喜んだそうです。
賢者が、臣下であった場合、その君主が賢者でないからといって、そもそも追放してもよいものなのでしょうか。」
孟子は言った。
「伊尹のように、志があるならば、良いのだ。
だが、伊尹のような志がないのであれば、それは簒奪(さんだつ)だ。」
以上
【尽心上】238、孟子と公孫丑の対話(15)太甲を追放した伊尹