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道 016 ニューヨークに到着

21歳の時に初めて海外旅行した上海への遊学以来、久しぶりに飛行機に乗りました。
9泊10日の予定だったものの、スーツケースを持っていなかったので地元のストリートダンスが好きな友人(後に大手芸能プロダクションに入社する年上の女性)にお願いして、真っ赤なスーツケースを貸してもらいました。
せっかく行くならスーツケースくらい買えよ、という感じなのですが、当時は経済的に余裕がなかったのです。
男性であればきっと選ばないであろう真っ赤なスーツケースに色々と詰め込み、希望を胸いっぱいに抱いて関西国際空港へと向かいました。
当時はスマホなんてものはなく、今考えると色々と不便だったと思います。

行きはカナダのバンクーバー経由。
搭乗した機体は香港の航空会社キャセパシフィックの飛行機。
ブランドカラーが深めの緑色だからなのか、座席も緑基調のカラーになっていました。
また、座席は狭くなく、比較的ゆったり座れたような記憶があります。
機内では当時公開されていた映画「マトリックス」を英語で見ました。
香港の飛行機なので、日本語字幕はありません。
映像が若干暗い感じで、独特な世界観で描かれる映画に、言葉の意味がよくわからないながらも見入ってしまったように思います。

搭乗時間は確か17時間ほどでした。
恐らくかなり体に無理が掛かっていて、到着間際のシートベルトをきちんとしめて着席していないといけない時間帯に、我慢できずトイレに駆け込んで嘔吐してしまいました。
(帰りだったような、帰りも同じだったような気がしますが、いずれにしても未だに10時間を超える搭乗には不安でいっぱいになります)

空港では、近所に住む知り合いの女性の妹さんが迎えに来てくれることになっていました。
その方はニューヨークで美容師をされており、アメリカ人の方と結婚されていましたが、1泊だけ家に泊めてくれることになっていたのです。
空港のロビーを出てると夜になっているのもあり、とても不安な気持ちになりました。
そして、妹さんが迎えに来てくれるのを待っていたのですが一向に現れないのです。
心配になり使い方がわからない公衆電話から電話しました。
海外の電話のコール音は独特の音色なので、更に不安が広がります。
つながったものの、先方がどうやら1日間違えていたことがわかりました。
そういえば事前にやりとりした際に、なんとく違和感があったのです。(確か日にちはあっているが、返信文に記載されていた曜日が異なっていた)

仕方なく、その日はいったんホテルに泊まることになりました。
空港のロビーから出てタクシー乗り場に行きました。
黒人の運転手さんのタクシーに乗り、近くのホテルに向かってもらうよう伝えたと思います。
もうかなり前なので詳しく覚えていないのですが、電話でホテルに連絡したか、知り合いの妹さんに聞いたかどちらかです。

ホテルに到着しフロントへ。
そこそこいい値段がしたものの、すごく古びたホテルであったように思います。
また、ハウスキーピング(室内を清掃する客室係)のメイドさんが何人かいましたが、皆さんとてもふくよかで大きな体型で、自分の中ではとても印象深く残っています。

フロントでチェックインし、部屋へ向かおうとエレベーターを探しましたが見つかりません。
仕方なく、作業カートを押していた黒人のふくよかで体の大きなハウスキーピングのメイドさんに
「Where is elevator?(エレベーターはどこですか)」
と恐る恐る片言の英語で尋ねたところ、自分のすぐ斜め後ろのエレベーターを指さしながら、
Fantastic!!
と言われました。
すぐ近くにあるのに気づかないことが、相当インパクトがあったのだと思います。
初めてアメリカ人の生のリアクションの洗礼を受け、エレベーターに乗って部屋に向かいました。

部屋もとても古びた感じでした。
また、9月の秋口で暑さが残るものの、クーラーがガンガンに利いていて、寒すぎてフロントに問い合わせましたが、結局操作がよくわからなかったか、操作しても温度が変わらなかったか、とても寒かったような記憶があります。

また、お風呂もシャワーも水圧が強くなかったような記憶も。
あわせて、日本のホテルをイメージしていったものの、部屋には寝る用に着る浴衣みたいなものもなく、「しまった」と思ったように思います。

そんな初めてのニューヨークの夜でした。

017へ続く


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