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大人が英語発音を身につけるには|言語学的考察
もっと自然な英語を話せたら!
英語を学んだことのある人だったら一度はそう願ったことがあるはず。
果たして、大人になってから母語話者のような自然な英語(以下、母語話者アクセント)を身につけようとするのは無謀なのでしょうか。
否!正しい方向性で頑張ればできる!
というのが私の結論です。
アクセントというのは所詮、決まりきった発音パターン。それを完コピしてしまえば良いだけ。ただし我武者羅にやるのではなく、理論立てた言語学的アプローチを駆使するしかありません。
その具体的な方法をまとめました。
ちょっとだけ自己紹介。
愛知県出身の純ジャパ。ニュージーランド在住。自他共に認める効率厨、理屈っぽいと言われます(笑)それは発音においても同様。いかに効率良く、最短で正しい英語発音を習得できるか考えてきました。英語学習を始めたのが遅かったので、違和感のない英語を話せるように誰よりも試行錯誤してきたつもりです。結果的に(IELTS試験官によると)発音だけは母語話者レベルまで伸ばすことができました。
あくまで私自身の備忘録ではありますが、これまで分析に分析を重ねてきた集大成!なるべく信憑性のある情報を厳選したので、長くなりますがお付き合いただけたら嬉しいです。
母語話者アクセントとは
英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)で第一言語として英語を身につけた人たちが持っているアクセントのことを母語話者アクセント(Native Accents)と言います。
アクセントとは「決まった発音パターン」のこと。標準語も標準語という枠組みで成り立っている以上、標準語アクセントということになります(この点で「訛り」や「方言」とは違います)
単純に発音が良い、というだけの話ではありません。発音パターンがしっかり確立されていることが重要です。いくら発音が良くても、複数のアクセントを混同してしまっていると伝わりづらくなってしまいます。
例えば、たまに関西弁を混ぜてくる東京人には違和感ありますよね?(ごめんなさい)これとまったく同じことが英語でも起こります。ロンドン英語にテキサス英語を混ぜてしまうと、せっかく流暢に話せていても違和感が残ってしまいます。
そもそも必要なのか?
別に違和感があっても伝わればいい !
と考える人にとっては関係のない話かも。ただし業種によってはネイティブのような英語を求められる場合もあります。
私の働いているニュージーランド現地の保育園でも(そこそこ)自然な英語を話すことができれば「子どもたちが間違った英語を学んでしまうんじゃないか」という不安は払拭できます。
日本国内であっても、自然な英語を話すことができれば観光・教育・芸能などの業界では大きな武器になるはず。仮にそれが自己満だったとしても、できないよりはできたほうが良い!と私は考えています。
英語習得との比較
英語習得と母語話者アクセントは別物です。
英語習得とは、聞く・話す・読む・書くの言語能力がネイティブ並みのレベルに達している状態のこと。要するに、英語圏で不自由なく働けるようになるくらいのレベルです。(言語学者によって諸説あり)
母語話者アクセントができていても英語習得ができているとは限りません。その逆もまた然り。
例えば、
ニュージーランド現地の保育園児たちは「母語話者アクセント」はできていても「英語習得」はできていません。
英語圏外からの交換留学生のほとんどは「英語習得」はできていても「母語話者アクセント」はできていません。というか気にしてません。
子どもの英語がやけに上手に聞こえるのはこれが理由。ちゃんと聞いてみると文法も語彙もめちゃくちゃだったりします(笑)とはいえ乳幼児期から英語だけを長年使っていれば、いつかは「英語習得」もできるわけです。
その逆は難易度が段違いに上がります。大人になると「母語話者アクセント」が簡単に身につかなくなるからです。その一方で「英語習得」だけは我武者羅に勉強していてもある程度できてしまいます。
身につけるのが難しい理由
母語話者アクセントを身につける能力は年齢を重ねるごとに失われていきます(DeKeyser, 2000; Flege et al., 1995; Long, 1990)。
カナダ移民240人を対象にした調査によると、移民した年齢が4歳以下でおよそ78%(100%ではない !)、4〜8歳でおよそ61%、8歳〜12歳でおよそ29%、12歳〜15歳でおよそ6%が母語話者アクセントを身につけていました。(Flege et al., 1995)
もちろん個人差はあるものの、スタートした年齢が大きな要因であることは間違いなさそう(Piske et al, 2001)。
驚くことに生後5〜6か月の時点でもうアクセントを認識できていて(Butler et al.,2011; Kinzler et al., 2007; Kitamura et al., 2013; Nazzi et al., 2000)、およそ5歳を過ぎると身につけるのが難しくなってきます(Flege et al., 1995; Long, 1990; Tahta et al., 1981)。
日本語には「L」と「R」の区別がありませんが、生後6〜8か月まではこれを生まれながらに判別することができます。しかし !その後も継続して日本語だけを聞かされていた子どもたちは、生後8〜10か月からこの判別能力を失ってしまうそう。(Kuhl et al., 2006)
あくまで言語学的統計ですが、大人になった時点で母語話者アクセントを「無意識のうちに」身につける能力は完全に失われています。
大人の英語学習はこれが大前提!
受け入れたくない事実ではありますが、これを踏まえた方法でなければ母語話者アクセントを身につけることはできません。
やってはいけない練習方法
たった今、どのように発音練習していますか?大人の英語初心者が次のような練習方法を試しているとしたら、母語話者アクセントからは間違いなく遠ざかっています。
英語の曲を歌う(楽しいけど)
聞き流し教材(時間の無駄)
フォニックス教材(子ども限定)
シャドーイング(まだ早い)
これらの学習方法は、よっぽどの例外を除いて逆効果!間違った英語発音が定着してしまう原因になります。「言語習得」だけならまだしも「母語話者アクセント」も同時に身につけようとしているのであれば、一旦やめてもらう必要があります。
ここからは具体的な練習方法を解説します。
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