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道化師の男
もしも物語の中に入れたら君ならどうする?好きなドラマ·読みかけのあのマンガ·思い出の小説などなど自分で体験ができる。好きじゃないなら中に入り少しイジることもできる。そのあと歯車が噛み合うかは分からないけど、全ては物語で起きること。現実とは別世界。好きなようにやってごらんよ。さぁ、さぁ、さぁ!
学校の帰り道、いつも通る公園には珍しく人だかりができていた。
「いらっしゃい!いらっしゃい!ここにあるものは魔法のような物ばかりだよ!この世に二つとないものばかりさ!」
道化師の格好をしており、顔には仮面がついているため素顔が見えない。
道化師の男は僕を見てこう問いかけた。
「君、読書は好きかい?」
「…好き」
「読書をしている時に少し物語を変えてみたいと思ったことは無いかい?これは物語の中に入りこめる機械なんだよ。おひとつどうかな?」
「!?」
急に声をかけられ反応には困ったものの、その言葉が魅力的に聞こえた。周りからは「ずるい!」や「僕も欲しい」なんてこえがしたけれど、僕はそんなものお構い無しで目を輝かせながら、その機械を受け取った。道化師が仮面の下で笑っていたとも知らずに。