バロック音楽だけではなく
ヴィオラ・ダ・ガンバ弾きの中山真一です。日本に帰ってから10年過ぎて、少しは日本になじんできたかと思ってます。
もう長いことバロック音楽やルネサンス音楽を演奏する人間として過ごしてきて、そんな中でいろんなことが溜まって（貯まって？）きてます。そういうものを少しずつ流出させていこうかと。
音源とか文章とか、ただ手元に置いといても仕方ないからね。ヴィオラ・ダ・ガンバ関係、対位法のいろんなこと、バロック音楽やルネサンス音楽だけでなく音楽一般に関することも、あと過去のジュネーヴやパリで暮らしてた時代のことも、見つかったものから掘り出してみることにするつもり。
今回はツイッターのトップに載せていた立場表明みたいなもの、まとめておきます。次に、何から掲載していくか、まだ不明ですが、たぶんこれがないと理解不能になるときもあると思うので。
【メモ】自分が生きていない時代の音楽を演奏するために学ぶとき、その曲とその当時を学ぶのではなく、その前の時代の音楽と時代の社会を学ぶ、ということ。これはその曲が成立した当時、曲を作った人と演奏家はその少し前の時代の音楽を聴いて育ってきていることを無視できないという考え方。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 15, 2019
これは自分がヨーロッパの、当時かなり尖った古楽教育をしていた学校に入ったとき、そこのスタッフたちが良く言っていたこと。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 15, 2019
バロック音楽を専門に勉強した人は古典派やそれ以降の音楽にも強くなるし、バロック期の音楽を専門にしようと思ったらルネサンス期の音楽や社会について学ぶ意義は大きい。
一方で、現代において当時と同じようなコンテクストを再現するのは無理な話なわけで、そうしたら現代の状況の中でその音楽にどういう意味を持たせる、あるいはどういうプレゼンスを与えられるかというのは、現代の演奏家として考えなきゃいけないんだよね。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 16, 2019
例えば「なぜライブハウスやカフェ、バーなどでばかり演奏して『ちゃんとした』コンサートホールで企画しないのか」と良く訊かれるけど、宮廷の世俗的の音楽をやるのに、果たしてコンサートホールは最適な場なのかという疑問を感じて、ライブハウスという選択をする事情もある。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 20, 2019
音楽が芸術作品としての意味より場を盛り上げるツールとして作曲されている側面が強いなら、社交やコミュニケーションの場で聴いてもらうほうが、楽曲の持つ特性を存分に発揮させられるかもしれない。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 20, 2019
逆に多くの宗教曲のように「聴かれる」ために作られた音楽はコンサートホールもふさわしいかな。
宮廷の世俗音楽とは言っても、例えば昨日のエール・ド・クールのコンサート @frenchbaroque の場合、歌詞の内容を濃く歌って伝えようというジャンルだから、これはワイワイガヤガヤの中で演奏して楽しめる音楽じゃないし、20～30人ぐらいの聴衆の中で静かに歌い、奏で、聴くのは理想的だった。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 21, 2019
その楽曲がどういうジャンルで、どういった聴き方が想定されているかを見極めるのは、演奏者とプロデュースする人たちの責任だと思う。だから音楽学校で当時の歴史的な資料まで（ある程度は）読み込み、文学やら政治やらの社会学的な背景を身につけることは、古い音楽を演奏するうえで重要かな。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 21, 2019
逆に考えれば、職業演奏家として演奏の場が与えられたときに、その場所・その状況にあったレパートリーを選択してプログラムが組めることは大切。そのためにも、音楽以外の話題を豊富に持っている聴衆や、聴衆と演奏家をつなぐプロダクション側との共通言語をもっていることは現代の音楽家として重要。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 21, 2019
そんな流れで言えば、聴衆に音楽の背景への理解や音楽の様式への認識を「要求する」のは、演奏家としての態度としてはどうかとも思う。演奏家としては、自分がそれを十分に吸収したうえで、特にそういう知識・認識のない聴衆に「それ」を含めて楽しんでもらえるように努めるのが仕事だろう、とね。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) June 4, 2019
【メモ】自分が生きていない時代の音楽を演奏するために学ぶとき、その曲とその当時を学ぶのではなく、その前の時代の音楽と時代の社会を学ぶ、ということ。これはその曲が成立した当時、曲を作った人と演奏家はその少し前の時代の音楽を聴いて育ってきていることを無視できないという考え方。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 15, 2019
例えば「なぜライブハウスやカフェ、バーなどでばかり演奏して『ちゃんとした』コンサートホールで企画しないのか」と良く訊かれるけど、宮廷の世俗的の音楽をやるのに、果たしてコンサートホールは最適な場なのかという疑問を感じて、ライブハウスという選択をする事情もある。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 20, 2019
音楽が芸術作品としての意味より場を盛り上げるツールとして作曲されている側面が強いなら、社交やコミュニケーションの場で聴いてもらうほうが、楽曲の持つ特性を存分に発揮させられるかもしれない。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 20, 2019
逆に多くの宗教曲のように「聴かれる」ために作られた音楽はコンサートホールもふさわしいかな。
宮廷の世俗音楽とは言っても、例えば昨日のエール・ド・クールのコンサート @frenchbaroque の場合、歌詞の内容を濃く歌って伝えようというジャンルだから、これはワイワイガヤガヤの中で演奏して楽しめる音楽じゃないし、20～30人ぐらいの聴衆の中で静かに歌い、奏で、聴くのは理想的だった。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 21, 2019
その楽曲がどういうジャンルで、どういった聴き方が想定されているかを見極めるのは、演奏者とプロデュースする人たちの責任だと思う。だから音楽学校で当時の歴史的な資料まで（ある程度は）読み込み、文学やら政治やらの社会学的な背景を身につけることは、古い音楽を演奏するうえで重要かな。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 21, 2019
逆に考えれば、職業演奏家として演奏の場が与えられたときに、その場所・その状況にあったレパートリーを選択してプログラムが組めることは大切。そのためにも、音楽以外の話題を豊富に持っている聴衆や、聴衆と演奏家をつなぐプロダクション側との共通言語をもっていることは現代の音楽家として重要。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) January 21, 2019
そんな流れで言えば、聴衆に音楽の背景への理解や音楽の様式への認識を「要求する」のは、演奏家としての態度としてはどうかとも思う。演奏家としては、自分がそれを十分に吸収したうえで、特にそういう知識・認識のない聴衆に「それ」を含めて楽しんでもらえるように努めるのが仕事だろう、とね。
— Shin Nakayama 中山真一 (@ShinNakayama) June 4, 2019