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もやもやパワー

気功って案外と性と密接な面があって、この辺が誤解を生む部分でもあるので、もう少し説明してみたいと思います。

性パワーというと大概は、「性欲」とか「淫らな」というバイアスがかかりますが、気功で認識している性パワーはそれとは異なります。

確かに気功を日々活用することで、ガツンと効く精力剤を飲んだような効果があることは事実です。また、それが気功の目標でもあるのでそれはそれでいいことではあるのですが、多くの方が誤解されるのはいわゆる「性欲」のような線引きから生じています。

単純に思春期の頃を思い返していただけばわかると思いますが、確かにその頃から何だかもやもやした感じが体の中に生じて、性的な欲求が生まれるのも事実ですが、そのもやもやは実は年間10cmも背丈を伸ばしたり、女性らしい体を作ったり、声変わりをさせたり、初潮や精通をもたらしたり、などの実際の変化をもたらすパワーと実は不可分のものです。

このパワーによって、ある人は学術的な大発見をしたり、優れたアスリートになったり、偉大な政治家になったり、大企業を創始したり、堅実な父親になったり、聡明な母親になったりするのです。

また、逆に多淫になったり、不良になったり、性的な妄想に沈んだり、引きこもったり、自傷行為に耽ったり、粗暴になったり、破壊欲求に苛まれたり、他人を踏みにじったり、といった負の側面が強化されるのも同じパワーによります。

このパワーは実は他人からもしっかり認識されていて、思春期から青年期には横溢していますから、世の中のアイドルは10代や20代前半の人が主になりますし、魅力的な人を見て興奮したり、強い衝動に駆られたりするのも、この「もやもやパワー」の成せるわざです。
10代の少年たちが、真剣にプレーしているからこそ、プロに比べてへっぽこなプレーでも高校野球は人を惹きつけるのです。同じ熱心さと技術をもっていても、オジサンのへっぽこプレーはそれほど人気にはならないのはそのせいです。

人はものを認識するときに、線引き・区分をします。ですのでこのパワーを「成長力」とプラスに捉えたり、「性欲」「淫欲」としてマイナスに捉えたりしますが、それは作用の面の違いであって、実際には同じものなのです。

また「成長ホルモン」と「性ホルモン」は異なるという方もいるでしょうが、ではなぜそのホルモンが、同じような時期に同時に爆弾のように炸裂するのでしょうか。問題はそこです。
例えば同じ火でも、使い方によっては火事を起こしたり、凶器になったりしますが、もう一方で煮炊きをしたり、暖を取ったり、電気を起こしたりするわけです。その火で肉をよく煮たときに「味の深いスープ(性ホルモン)」と「よく炊けた肉(成長ホルモン)」ができたとしても、問題の主眼は「火」そのものにあるわけです。
実際にホルモンを分泌させるパワーこそが「気」という認識に気功は立っているのです。

そして気は、単に分泌にとどまらず、出生や成長の変化を見るまでもなく、具象を大きく変える力があるのです。

「気」の原点は以前、他のブログに書きましたが、雲が湧き上がるような力を指します。降り注ぐ太陽と、青く澄み切った空に、どの山よりも大きな雲を湧き立たせるような力をして、原初の「気」という概念はできています。
また、中国の思想において「気」は根本原質であると捉えられています。
その雲から雨が降り、その潤いによって草木が育ち、わたしたちが養われるという、線ではなく大まかなクラデーションによって区分された依存関係によって具象の存在を捉えると、気というものの感覚が捉えやすくなると思います。

【余談】
気の用字について
①气→三本の線が本来の形。雲のはたらくさまを表す
②氣→客人へのもてなしやその料理を指す(気はその略字)
③炁→満腹になってため息をついた人が火によって温められている

本来、気功は中国の用字と同じく「气功」と書くべきですが、このブログでも「気功」の表記にしています。
「炁」を用いる人がいるのも、内丹や腹部の精を温めて気を生み、錬成するという字義によるのだろうと思います。


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