「金融リテラシー」とは何ですか?
最近、「金融リテラシー」という言葉を目にする機会が増えましたね。
「金融リテラシーを高めよう!」というような趣旨で語られているケースが多いように見受けられます。
そもそも金融リテラシーとは何でしょうか?
これが、2012年にOECDのINFE「金融教育に関する国際ネットワーク(International Network on Financial Education、INFE)」が作成した「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」の中での定義です。
金融リテラシーというと、金融や投資に関する(ちょっと難しい専門的な)知識のことだというイメージがありますが、そうではありません。単なる知識だけではなく、実際の態度や行動までも含めたものということになります。しかも、目的は「個人の幸福を達成するため」にあるというのです。
日本では、金融庁が「最低限身に付けるべき金融リテラシー」ということで、4つのカテゴリーに分けて内容を提示しています。
中身を見てみましょう。
家計管理は、家計簿などで収入や支出、資産や負債を把握・管理し、赤字なら支出を抑えるなど、必要に応じて改善ができること。
生活設計は、自分の夢や希望、目指す生き方をライフプランとして設定し、それに合わせた資金計画を立てて実行すること。また生活環境が変化した場合などには、ライフプランや資金計画の見直しを行うことで、将来や老後に向けたライフプランの実現に向けて取り組むこと。
金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択は5つに分けて説明されています。
(金融取引の基本としての素養)
正しい情報か、信頼できる業者かどうかを確認すること。契約する場合は、書面などをよく読んで、慎重に判断できること。
(金融分野共通)
金利、インフレとデフレ、為替、リスクとリターンなど経済や金融の基本的な事柄を理解し、それらが金融商品の価格や利回りにどのように影響するか理解すること。金融商品のコストについて理解すること
(保険商品)
自分が備えなければいけないリスクの種類と内容を理解し、それらをカバーするための保険商品を正しく選択できること。
(ローン・クレジット)
住宅ローンの内容を正しく理解し、返済能力に合った無理のないローンが組めること。リボ払いには高い金利が発生すること、返済が滞ればブラックリストに登録されることなどを理解し、無計画なローンやクレジットをしないこと
(資産形成商品)
リスクとリターンの関係を理解し、自分のリスク許容度を知ったうえで、自分に合った金融商品を選択することができること。長期・分散投資の効果を理解すること。
外部の知見の適切な活用は、金融商品を選択・利用する場合には信頼できる外部の知見を活用することの必要性を理解し、専門家・アドバイザーに相談するなど、実際に行動できること。
となっています。
「こんなに!」と思われるかもしれません。
確かに、これらを全部理解し、行動しようと考えると、めまいがするくらい大変です。
でも、なぜこれだけの内容を理解し、行動することが求められているのか。
それは、繰り返しになりますが「個人の幸福を達成するため」です。
三井住友信託銀行の2023年の調査では、以下のような結果が出ています。
あらあら、これは見過ごせません。
金融リテラシーを高めよう、という気になってきますね。
調査からもわかるとおり、金融リテラシーを高めることはメリットがあります。
いま、おカネに関する不確かな情報や怪しい話があふれています。「知っていたから得をした」「知っていたからトラブルが回避できた」ということも少なくありません。まともな正規の金融商品であっても、自分に合わない商品であれば不要です。
こうしたことをすべて自分一人で判断・選択するのはなかなか困難です。
そこは、4番目の項目にもあるように、必要に応じて専門家やアドバイザーの意見を活用しながら、より良い豊かな人生を送っていただきたいと思います。
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