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日銀のマイナス金利解除で何が変わる?

日本銀行は昨日(3月19日)の金融政策決定会合で、金融政策を大きく転換しました。

その大きな1つがマイナス金利を解除したことです。
政策金利を0~0.1%とし、2016年1月以降続いてきた▲0.1%の政策金利(マイナス金利)を解除しました。

もう1つは長短金利を操作するイールドカーブ・コントロール(YCC)を撤廃したことです。YCCに関しては、2022年末より長期金利の変動幅を徐々に拡大してきましたが、今回の撤廃で金利の変動は市場にゆだねることとなりました。

あわせて、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の新規買い入れを終了することも発表しました。

生活や社会への影響は?

こうした大きな政策の変更があったわけですが、これは私たちの生活にどう影響するのでしょうか?

①預金金利

政策金利が引き上げられたことで、預金の金利引き上げが期待されます。
これまで、メガバンクや多くの銀行で普通預金は0.001%、1年物の定期預金は0.002%でした。

この決定を受け、さっそく三菱UFI銀行は普通預金の金利を0.001%から0.02%へ、1年物の定期預金金利は0.002%から0.025%、5年物の定期預金は0.07%から0.20%へ引き上げることを発表しました。
三井住友銀行も普通預金の金利を0.001%から0.02%へ引き上げ、定期預金も金利引き上げを予定していると発表しています。

他の銀行や信用金庫なども、追随して金利の引き上げを行うことが予想されます。これまでゼロ金利といわれてきた銀行の預金ですが、わずかながらも金利がつくようになったことで、資産形成の選択肢が広がることになりそうです。

②住宅ローン金利

住宅ローン金利は変動金利と固定金利があります。それぞれベースとなる金利が異なっていて、変動金利は短期プライムレート、固定金利は長期国債の利回りをベースにしています。

固定金利は、長期国債の利回り上昇にともない、2022年頃からすでに上がってきていました。その一方で、変動金利は各金融機関の競争もあって、むしろ引き下げられる方向で推移していました。

リクルート「すごい住宅ローン探し」webページより

今回、政策金利が引き上げられたことで、金融機関は最優良の企業への貸し出しに用いる短期プライムレート(最優遇金利)を引き上げる可能性があります。そうなると変動型の住宅ローン金利も引き上げられるのではないか、という不安が出てきても不思議ではありません。

緩和スタンスは当面継続へ

今回、日銀はマイナス金利を解除し、いちおうのところ「利上げ」ということにはなりました。会合後の会見で、植田和男総裁は「大規模な金融緩和政策はその役割を果たした」としたものの、「当面は緩和的な金融環境は継続する」と述べ、緩和スタンスを継続すること、追加の利上げは急がないことを示しています。

であれば、金融機関としても短期プライムレートを急に大きく引き上げるようなことはないでしょうし、したがって変動型の住宅ローン金利が、急に引き上げられることもないでしょう。ただし、これまでのような引き下げ競争によって下がるということもなくなると思われます。

不安に駆られて、あわてて繰り上げ返済をするような必要は全くないのです。


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