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転職エージェントが語る”内定者への手紙”から何を読み解くか

今日は「転職の思考法」の著者である北野唯我さんの新刊である「内定者への手紙」から読み取れる若者への激励メッセージを抜粋しつつ、転職エージェントとしての観点から必見ポイントの抜粋や「ここは就職活動や転職活動にも活きる!」というポイントを紹介します。

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まず、本題に入る前に前提を2つ説明させて下さい。

前提(その1)
「まだ入社してない若者に対してもう転職の話するの?」という意見もあるかと思うので以下に補足を記載します。

※ このnoteでの内容に関しては転職市場に身を置くエージェントとして「転職意欲の有無に関わらず、ビジネスシーンにおいてコレが出来る人は評価が高くなる可能性が高い」という客観的な意見として読んで頂けると嬉しいです。そういう意味では、まさに転職の思考法に書かれている内容とリンクする部分が出てくるはずです。
※ 本書「内定者への手紙」の内容は若者だけではなく、全てのビジネスパーソンが読んでも腹落ち感がハンパない内容のため、既に社会人を数年経験している人にとっては近々でメリットがある可能性も含みます。

前提(その2)
北野さんもご自身のnoteで仰っているように、この本は著者北野唯我の仕事術が豊富に記載されていますが、このnoteではよりマインド(考え方や構造理解)に比重を置いての内容になります。

前振りが長くなりましたが、本題に入ります。


1.ビジネスは決闘に近い

まず、北野さんは本書で「ビジネスの側面は決闘に近い」と表現しており、その後に出てくる「周りの大人は誰も教えてくれないけれど、耳が痛い真実の話」という言葉と合わせて見ると「社会に出る=厳しい戦いが待っている」という事が分かります。

そして、本書の内容(10のチェックリスト)にある「いい会社に入る、ではなく、いい会社をともに作りたいか?」という言葉から何を読み解くかが大切になります。

結論からいうと転職の思考法でも出てくる「マーケットを見て働く」という事が本質かつビジネスシーンでは常に必要な考え方であるということです。「いい会社を作る」ということは、すなわち社会にとって評価される企業を作る事の一役を担っていると理解して欲しいメッセージではないでしょうか。

つまり「その企業の経営者が何を考えて事業を起こし、将来的に社会に対してどのようなインパクトを与えたいのか、という事を考えろ!」という何とも熱いメッセージが込められているように思えます。

個人的な意見になりますが、就活生を見ていると「内定を貰う」ことが目的となっているケースがあり(コロナ禍で就活が厳しい方もいるのは承知ですが)、その度に私は悲しくもなり、その学生たちの将来が不安になったりもします。

仮にあなたの周りに「〇〇社から内定貰った」と自慢している友人がいたら、「持つべき視野の広さと長さ(視座の高さ)が間違ってるぞ!」と注意をしてあげて欲しいです。

そして、これは転職市場でも同じ事が言えます。

日頃、転職を希望する求職者と話していると、「転職する事が目的」になっているケースも少なくないです。もちろん転職を希望している背景には人それぞれの理由がありますが、本来手段であるはずの転職が目的化した時点でその人は自分のキャリアにおける目標を失っている可能性が高い場合が多いです。(実際に複数の企業から内定が出ても最後に決め切れない場合は、目的を見失ったままの転職になっていたという事が本当にあります)

本書でも記載がありますが、理論・ハウツー・スタンスなどの複数要素が噛み合った状態でビジネス人生を歩んでいかない限り、ビジネスの世界(厳しい戦場)で生き残り続けるのは難しくなってしまいます。


2.目標設定から物事を始めよ

2つ目は目標設定の重要性です。本書ではビジネスにおける「目標・分解・計測の法則」の話が出てきますが、個人的にはキャリアにおける目標設定の重要性も読者の方々には感じて欲しいと思いました。

上記でも触れていますが、目標(目的)が明確に設定されていないケースでは、手段が優先されてしまい、そもそも論の「なんのため(WHY)」が忘れられ、その結果、未来への希望やワクワク感、または勇気という前向きな感情を持つ事が難しくなり、結果的に自分が望んでいる成果物(結果)を得られないパターンが多くなります。よくある「思ってたのと違う!」という状態に陥りやすくなってしまいます。(手段の目的化)

「すべての事柄に目的がなければいけないのか?」と言われると、そうではないと思いますが、「目標を立てる、ゴール設定をする」という事の重要さを認識している状態と、「なんとなく」や「とりあえず」の連続ではキャリア形成におけるインパクトも大きく違いが出ることは間違いないです。

物事を考えて進める順序を意識して変える事はすぐにでも取り組めます。さらに、その目標設定をする際に、なぜその目標なのかの「WHY」の部分に焦点を当てて考えを整理する事により、物事が進捗するたびに「意義」や「やりがい」を感じる事にも繋がるのではないでしょうか。

何事も一朝一夕で出来ることは多くはないです。

ましてや、今は人生100年時代。

現代社会では毎日に意義を感じる事が難しい人も結構いると思います。

キャリアの歩幅は人それぞれ違っていいと思いますが、歩いている道の先に「目標」と「なぜ」が明確にある方が少しでもポジティブになれる要素も増えると思うので是非キャリアにおける目標設定の重要性も本書を通じて感じて頂けると嬉しいです。


3.準備の大切さを時間軸と共に考える

さて、3つ目に関してですが、本書では目標設定が出来てからのどのような行動に移すべきかという点もガッツリ抑えているのですが、少し視点を変えて読み解きたいと思います。

まず、本書では以下の2点を解説してくれています。

① 朝の業務へ取り掛かるまでのロスを出来る限りなくすための事前準備(初動への移行をスムーズにする効果)
⇨ 目標に沿った翌日の計画を分解して考え、実際に業務に取り掛かるまでの手間になる可能性のある作業を前日に終わらさせておく。

② 業務自体への重要度と緊急度で取り組む時間帯(朝 or 昼以降)を考える。
⇨ 長期目線と短期目線で取り組む業務の順番を変える事で、仕事のスピード(そして結果)にも違いが出る。

上記は業務上での初速を軌道に乗せる重要性と業務効率を意識した働き方という事をロジカルに説明してくれています。

一方、下記ではもう少し時間軸の長いキャリアの観点で考えるとどうなるのか、という見方をします。業務のスピードや効率が優れている人に関しては周りと比較して必然的に時間に余裕が出るはですです。その結果、少し長期的な目線で考えた際のキャリア形成に関しても有利に働く事が想像できます

具体的には、上記の①と②をキャリア形成の観点に変換すると、以下のようになります。

➊ 将来の目標(キャリア)を明確にし、そのための下調べもしてある。
➡ 目標に対して最短距離で必要なスキルを学ぶ時間確保が可能になり、周囲よりも2歩、3歩先に希望のキャリアへシフトする事が可能になる。

➋ 「今やるべき仕事」と「将来のキャリア形成のための仕事」の二軸を持ち、毎日を過ごす。
➡ 毎日1%の努力を365日続けると、37倍の結果が出る(複利効果)。周囲がやっていない事を1%で良いので長期目線で継続出来ている人はキャリア形成の観点でも優位性が出る。

上記をまとめると、毎日の業務はもちろんのこと、キャリア形成の観点からも、「準備・時間軸・優先順位」を日頃から意識して働き方に反映させる事で、周りよりも一歩先にリード出来るという事が読み取れるはずです。


4.「Yes, but 構文」「Help needed 構文」を面接時に応用してみよう

4つ目に関してはかなり就職活動(または転職活動)の際のテクニックに寄る内容になりますが、実践的でもあるので、是非このnoteを読んで下さった方々にはヒントになるはずです。

就職活動(転職活動)をしたことがある人であれば、恐らくほぼ100%の確率で面接時に「では、最後に何か質問はありますか?」と聞かれた経験があるのではないでしょうか?

合否に関わらず、どんな質問をするのが正解なんだろう、と一度は考えた事があると思います。または、そもそも質問すべきなのだろうか?という事も考えたことがあるはずです。

転職エージェントの立場としての見解としては、「面接時に企業(面接官)への質問は必ずして欲しい」という回答になります。

そして、それにはある条件がありますが、この部分が「Yes, but 構文」の応用となります。

まず、あまりお勧め出来ない例を出しますが、以下のような質問は基本的に面接での評価を下げるので止めた方が良いです。

残業時間、福利厚生、昇給頻度、有休消化率 など
待遇面や社内制度に関する詳細

もちろん、これらは仕事を選択するうえで大切な項目ではあります。

「絶対にNGか?」と聞かれると、絶対ではないのですが、仮に選考が進み、内定が出るような段階に来ればおのずと企業側から教えてくれるような事が多い項目のため、わざわざその前にある面接という貴重な場面で時間を割くほど優先順位が高いかどうかは疑問である、ということです。

私も面接官をする事がありますが、待遇面に対してかなり詳細に質問をしてくる人と接すると「この人はうちの会社(ひいては市場)に貢献しようと考えているのではなく、うちの会社から何が貰えるかを優先的に考える人なのかな?」と感じてしまいます。

まさしく「いい会社に入りたいのか、いい会社を作りたいのか」の違いと言えます。

「いい会社を作りたい」という想いと併せて、面接の際の質問時には、以下の3つのポイントに気を付けて頂きたいです。

① 面接官への質問は自己アピールだと意識する
② 条件や前置きを置いて、質問をする
③ 良い質問は「Yes / No Question」ではない

始めの①から「?」が浮かんでしまうかもしれないのですが、これはめちゃくちゃ重要な意識の持ち方なので、是非参考にして欲しいです。

企業の面接官から「何か質問はありませんか?」と聞かれた場合、基本的には「質問をしなければいけない」という思考になるはずだ。これがそもそも少し間違っています。面接の場という特殊なシチュエーションのため、文字通りに受け取ってはいけないということです。

面接の場では、あくまで自分を最大限にアピール(売り込み)出来た方が良いです。そして、こちらから質問する時間は面接の中では自分が主導権を持てる(発信者側になれる)限られた機会です。

こちらから自己アピールが出来る数少ない機会に対して、「特に質問はありません」と答える人がいたら、サッカーでいうアディショナルタイムが無い状態で試合をしているようなものになってしまいます。

「チャンスがあれば、どこからでもショートを打て」という事ですね。

そしてここからが「Yes, but 構文」に近い要素を含んだ部分となります。「Yes, but 構文」の基礎は、先にYesはあり後にButが来るという「条件を付ける」という構成になっています。条件を付けるということであれば、前置きに関しても似たような効果があります。

これを面接時の質問に応用するとどうなるか、が以下になります。

例)今後の事業展開を質問したい場合

「私は御社の事業の特徴はXXXとYYYのだと感じています。個人的にはXXXという魅力や市場での優位性を活かし、ZZZというような事業展開も考えられると思うのですが、(面接官の)●●様はどのようにお考えでしょうか?」

➡ まず、企業に対して今後の事業展開を質問してくる時点で面接官に熱意や興味が伝わる。そして、自分の意見を前置きとして説明する事で、事前にリサーチしてきた(または既にサービスを知っている)というアピールにも繋がる。最後にオープン形式での質問により面接官の意見も聞ける。(そこから会話が広がれば尚良い)

このような質問が出来ると面接官には好印象を持って貰える可能性が高まるかと思います。上述ではテクニックと表現しましたが、話している相手が何を聞きたいのか、を先回りして自分の意志や意図も伝えるという部分では、ある意味コミュニケーションの本質とも言えると思います。

このように「Yes, but 構文」の持つ本質的な効果を理解して頂ければ、日頃のコミュニケーションの取り方としても役に立つはずです。


まとめ

いかがでしたでしょうか?

北野唯我さんの新刊「内定者への手紙」には仕事術はもちろんの事、キャリア形成や就職活動(転職活動)における重要なメッセージがたくさん含まれているので、今回は私なりの解釈や要点をまとめさせて頂きました。

この内定者への手紙はシリーズ形式となっているので、2月25日には第2号が発刊される予定となっています。

また次回にも機会があれば私なりの解説をお届け出来ればと思います。


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