104、猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。
……奢れる者よ、猛き者よ、お前らはいつか必ず滅びるだろう。お前らは風の前の塵と同じなのだ。
那須与一は扇を射抜き、熊谷直実によって平敦盛は討たれた。お前らもいつか射抜かれ、敦盛のように討たれることだろう。
あの甲斐の名門「武田家」も天目山の戦いに破れ滅亡した。武田家当主の武田勝頼は、家臣、そして息子と妻と共に潔く自ら命を断ったという。
――あ、「風の前の塵ども」は潔く腹を切ることもできないだろう。武田家の御霊に失礼だったね。
奢れる者よ、猛き者よ、お前らは必ず滅びるだろう。
せいぜい、威勢よく吠えておくんだな。