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カホフカ・ダム破壊による深刻な「砂漠化」
クソったれロシアの軍事侵攻はなかなか終わらない。どうも米国の次期大統領はトランプの可能性が高くなってきており、非常に不安な思いを抱いている。アメリカ第一主義のヤツの事だ、ウクライナへの支援を渋る可能性を考慮せざるを得ない。
さて、そんなウクライナだが南部では気温が40℃を超えているらしい。今年の日本も暑そうだが、クソったれロシアによる度重なる攻撃で電力不足のウクライナの夏は非常に厳しいと想像せざるを得ない。
海水浴場、じゃない! ウクライナを襲う40度の暑さと電力不足 市民「まるでエジプト」(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース
酷暑と電力不足意外にも、実は深刻な事態に陥っている案件がある。それは南部ヘルソン地方とクリミアの「砂漠化」だ。
ロシアは2023年6月、戦時国際法を完全に破ってウクライナのカホフカ・ダムを破壊したのだが、その影響で植生が急激に変化しているのだ。
今回は「ChrisO_wiki」という戦史作家・研究者を名乗る方の一連のポストを紹介したい。
早速いってみよう。
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1/ウクライナのカホフカ・ダムが破壊されてから1年後、かつて灌漑地であった南部へルソン地方とクリミアの植生面積は85%以上減少した。これは、かつての穀倉地帯が急速に以前の半砂漠状態に戻りつつあることを示している。
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2/ NASAのTerra衛星とAqua衛星に搭載された中分解能画像分光計の最新データは、この地域の植生状態指数の劇的な変化を示している。現在、この地域の植生被覆率は、過去の傾向の15~25%である。
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3/ クリミアとへルソン南部の両地域で植生被覆が最も減少している地域は、かつて本土の北クリミア運河とカホフカ運河によって灌漑されていた地域とほぼ一致している。カホフカ・ダムの破壊によって、両運河はドニプロ川から切り離された。
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4/ ドニプロ川の両岸の貯水池からは、合計で約12,000kmの運河が流れていた。カホフカ運河だけでも22万ヘクタールの土地を灌漑し、農業部門と重工業部門で数十万人の生活を支えていた。
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5/ ダムと運河が建設される前、アゾフ地方は非常に乾燥していた。年間平均降水量は350ミリで、蒸発量は1000~1100ミリに達する。1687年と1689年の2度にわたるロシアによるアゾフ地方を経由したクリミア侵攻の試みは、飲むものがなかったために失敗に終わった。
6/ クリミア北部は、農業と人間の居住にはさらに不利だった。暑く、乾燥し、埃っぽい平原で、干ばつ、砂嵐、不作が頻発した。原住民のクリミア・タタール人は、農作物ではなく、自給自足の農業と工芸品の生産で生計を立てていた。
7/ 1855年にイギリス人旅行者が書いたように、夏のクリミア内陸部は「憂鬱な荒廃の地であった。草花は塵と灰になり、地表は完全な砂漠と化し、わずかな草本と低木の茂みしか生えない...」。飢餓が絶えなかった。
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8/ 1940年代後半まで、ロシア人はクリミアの内陸部にはほとんど手をつけず、代わりに地中海から亜熱帯の海岸に定住することを好んだ。海岸沿いの 「ヨーロッパ的 」クリミアとは対照的に、「アジア的 」クリミア内陸部はひどく貧しく、放置されていた。
9/大きな問題は水不足だった。ソ連の農学者は、この地域で1トンの小麦を栽培するには500トンの水が必要であることを明らかにしたが、クリミアや南部へルソン州には川がほとんどない。ソ連のレオニード・メルニコフは1950年にこう書いている:
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10/これらの地域の肥沃な土壌は、集団農家の労働に必ずしも報いることができない。乾燥した風と黒い砂嵐が頻繁に畑を荒廃させ、何千人もの人々の労働の成果を破壊する。
11/ 「19世紀と20世紀が交わる60年間に、ウクライナ南部では20回の干ばつに見舞われた。干ばつは3、4年ごとに発生し、しばしば災難の様相を呈した」。
12/カホフカ・ダムと運河網の建設によって、初めて工業的農業が可能になった。センターピボット灌漑の原理で水を供給する多くの円形の畑は、運河の線に沿って作られ、衛星画像ではっきりと見ることができる。
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13/ ダムを失ったにもかかわらず、ロシアの軍事的プレゼンスにより、2022年以降、水供給への需要は実際に増加している。軍に十分な水を供給するため、民間人の居住地では何日も水の供給が止められている。
14/ 2023年6月9日にダムが破壊されてから数週間以内に、NASAの衛星が北クリミア運河の干上がりを記録した。それはクリミアの水の85%を供給していた。ロシア側は現在、クリミアの数少ない貯水池や井戸から水を補給しようとしていると伝えられている。
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15/クリミア半島には、雨水や雪解け水を貯水する15の貯水池があり、その総量は約2億5000万立方メートルである。しかし、その半分の貯水池の容量は1000万立方メートル以下で、決して運河の水の代わりをするためのものではない。
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16/クリミアは2023年から24年にかけて極端に乾燥した冬を迎え、全体の降水量は平年の10~50%、山岳部の降水量は平年の17%しかなかった。川は干上がり、ビロヒルスケ貯水池のように貯水池はすでに著しく枯渇している。
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17/ その結果、クリミアとアゾフ地域は、ソ連以前の砂漠に近い状態に急速に戻りつつあるようだ。農業はもちろんのこと、人間が住むことさえもはや不可能かもしれない。50万人もの人々が立ち退きを余儀なくされると予測されている。
18/ 2014年から2022年にかけて、北クリミア運河がウクライナによって寸断されたことで、この地域の植生はすでに大きなストレスを受けていた(2022年の侵攻後に一時的に再開された)。2013年7月と2024年7月の植生面積の差は歴然としている。
(※ロシアのクリミア侵攻後、ウクライナは北クリミア運河からの水の供給をストップした:天乃川注)
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19/ ラジオ・フリー・ヨーロッパのインタビューに応じたある農家は、干ばつに強い作物でさえも今では枯れ果てていると指摘している。農家は作物を廃棄しなければならなくなった。今ではほとんど成長していない:
20/「今年はイチゴがほとんどなく、野生のベリー園も暑さで焼けてしまった」
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21/「暑さと干ばつのせいで、緑の草はなく、乾いた草ばかりで、乳量は激減した。このような状況では干草畑はなく、干草があったとしても高値で買わなければならない」
22/「このような状況で、村人は家畜の数を減らし、菜園を放棄し始めている。多くの村では、水の消費量が基準を超えているため、水道の水圧はすでに低くなっている」
23/「間もなく断水が始まり、今年の夏はクリミアで水に関する大きな問題が発生すると思う。」 /終わり
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以上だ。
ロシアはウクライナの民間人を虐殺・強姦・拷問するだけではなく、このように国土の植生まで破壊してしまうのだ。
「砂漠化」は様々な事柄に影響を与えるだろう。いつまでも戦争を長引かせてはいけない。西側兵器の使用制限を解除し、モスクワへの攻撃に踏み切るべきだと気炎を上げざるを得ない。
1/ A year after the destruction of Ukraine's Kakhovka Dam, vegetation cover in formerly irrigated parts of the southern Kherson region and Crimea has fallen by 85% or more. It's a sign that the former breadbasket region is reverting rapidly to its previous semi-desert state. ⬇️ pic.twitter.com/Lj4LqArQXE
— ChrisO_wiki (@ChrisO_wiki) July 17, 2024