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《2人の放課後》第6話: 三角関係の始まり

(ありがとう夏樹くん、
君のその優しさに本当に救われた。
ずっと辛かった。
あの日君に話せて、
今こうして君と仲良くなれて。
本当に嬉しいよ。)

秋の終わりが近づくにつれて、
学校の風景は少しずつ変わり始めていた。

校庭の木々も色づき、
落ち葉が風に舞う季節。


放課後、夏樹は遥と話す時間は日に日に増え、夏樹と遥の関係は着実に深まっていった。

あの話をした少し後で
遥の両親は離婚したみたいだ。

その話を聞いてからというもの、
遥は辛い表情をしてる感じはない。

むしろ前より素直に笑えているように思う。
今では毎日、気が楽に過ごせていると言っていた。

(僕はこれから彼女に何をしてあげられるのかな?)

ただ二人が一緒にいる時間が増えるにつれて、
周りの生徒たちもそれに気づき始めていた。

ある日、教室で夏樹がふと顔を上げると、
颯太がこちらを見つめていた。

いつもと同じ軽やかな笑顔ではあるが、
その目にはどこか微かな違和感があった。


「お前、最近なんか変わったよな」


颯太が何気なくそう言って、
夏樹の机の前に腰を下ろした。
夏樹は少し驚きながらも、

「僕が?変わった?」

と聞き返した。

「そうだよ。前はもっと一人でぼーっとしてたのに、最近は遥とよく話しているみたいだけど、なんかあったのか?笑」

颯太は冗談めかして言ったが、
夏樹はその言葉の裏に隠されたものに気づいていた。

彼は少し戸惑いながらも、
軽く笑って返事をした。

「まあ、普通に少し話する程度だよ」


「そうか? でも、男子の間でも女子の間でも話題になってるし、俺も気になってるし」

颯太のその言葉に、夏樹は驚いた。

遥がクラスでどれだけ人気があるかは知っていたが、颯太の言う「俺も気になってる」という言葉が引っかかった。

「気になってるって?」

夏樹がそう聞くと、颯太は一瞬口ごもった。

「いや、その。俺、遥のこと好きなんだ!」

その言葉が夏樹の胸の中で、
少しだけ不安として広がった。

遥はクラスの人気者だし、
颯太もクラスの人気者で、
そんな彼が遥に対して特別な感情を抱いているかもしれないと思うと、
夏樹は自分でも驚くほどに焦りを感じた。


颯太が遥を好きだと言うことに対し、
夏樹の中で、遥に対しての気持ちが揺れ動き始めていた。

颯太は夏樹にとって大切な幼馴染であり、親友だ。
しかし、その彼が遥に対して特別な感情を抱いているとなると夏樹はそわそわしていた。


彼女は自分に心を開いてくれているが、
それは友達以上のものなのだろうか?
自分の気持ちはどうなのか。

(颯太が遥を好きって僕にちゃんと伝えてくれたのに、僕は...)


翌日、夏樹はいつもより
少し早めに学校に向かい教室に着いた。

颯太はすでに席に座り、
他のクラスメイトと談笑していた。

夏樹は何気なくその光景を眺めながら、
複雑な思いを抱えたまま一日を過ごすことになった。

そして放課後、
いつものように遥と二人で話す時間が訪れた。

しかし、その日は何かが違っていた。

夏樹は、颯太の存在が頭から離れず、
遥にどう接していいのかわからなくなっていた。

「夏樹君、今日ちょっと元気ない?」

遥は心配そうに夏樹を見つめた。
彼女のその優しい視線に戸惑いつつも、
夏樹は少しだけ心が軽くなった。

しかし、彼の心の中にはまだ、
颯太との関係についての葛藤が残っていた。

「いや、大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけ」

夏樹は微笑んでそう答えたが、
心の中では迷いが渦巻いていた。

遥への気持ちがますます深まる中で、
颯太と遥と僕の関係をどうすればいいのか、
その答えを見つけることができずにいた。


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