第3章: 「謎の敵と学園の危機」
翔とアヤカがペアを組んだ試験の勝利から数日が経ち、学園内での彼の評価は少しずつ変わり始めていた。周囲は彼の「運」の能力に注目し始め、彼自身も少しずつ自信を取り戻しつつあった。
しかし、学園内に不穏な空気が漂い始める。異能力者ばかりが集まる陽光学園は、その力を狙う外部の組織に常に目をつけられていた。そんな中、学園内で「能力吸収」を行う謎の敵が現れたとの噂が流れる。何人かの生徒が襲われ、彼らの能力が奪われたというのだ。
翔はその噂を耳にしても、まさか自分にそんな危険が降りかかるとは思っていなかった。しかし、ある日の放課後、彼の目の前にその敵が現れる。
「お前か…噂の落ちこぼれは。」
現れたのは黒いローブをまとった男。その顔は覆面で隠され、年齢も性別もわからない。その男は翔をじっと見つめ、冷たい声で言った。
「お前の力…興味深いな。運を操る能力。これほど使える力を持ちながら、なぜお前は無力だと思っている?」
男は笑みを浮かべ、翔に近づいてくる。翔はすぐに身構えたが、異能力らしきものは何も感じなかった。ただ、直感的に、この敵は自分とはまったく異なる存在であり、強大な力を持っていることを悟った。
「俺の能力なんて、大したことない…けど、お前には奪わせない!」
翔は勇気を振り絞って立ち向かうが、男は指を一本動かしただけで翔を吹き飛ばした。地面に倒れ込む翔。その瞬間、男が手をかざし、翔の体から何かを吸い取ろうとする。
「さて、お前の運を奪わせてもらおうか。」
しかし、次の瞬間、男は突然後ろへ飛び退いた。空間が歪み、アヤカが姿を現したのだ。
「翔、大丈夫?」
アヤカは無表情のままだが、その目は鋭く敵を睨んでいた。
「この学園に手を出すな。」
アヤカは空間操作の力で敵に攻撃を仕掛ける。しかし、敵もまた異能力者だった。男は手をかざし、アヤカの空間操作を無効化したかのように振る舞い、まったく動じない。
「ふん、さすがは学園の期待の星。だが、お前も私には勝てない。」
ローブの男はそう言うと、再び翔に向き直った。