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【本】言葉は言霊~「壁をブチ破る100の言葉」再読②

前回に引き続き、山口智司さんの「壁をブチ破る100の言葉」の中から、いくつか印象に残る言葉をご紹介していきたいと思います。特に今回は自分の中でも「若かったなー」という若干照れくさい言葉を集めてみました。めちゃくちゃ「ベタ」な名言ばかりではありますが、チョイスの「ベタ」さを笑って頂ければ・・・笑。


「99%の汗ばかり強調されている…99%の汗が実るのは、1%の閃きを大切にしたときなのだ」

エジソン(発明家)
トーマス・エジソンは電球や蓄音機の生みの親として知られる発明家。エジソンの有名な言葉といえば「天才とは、1%の閃きと99%の汗である」だが、エジソン本人がこの言葉の真意をこう説明した。なによりも直感、ひらめきを大事にしたエジソンは、「努力」「勤勉さ」だけがクローズアップされるのに違和感を覚えずにはいられなかった。

山口智司著「壁をブチ破る100の言葉」より

私もこの本を読むまで、「天才とは1%のひらめきと、99%の汗である」という努力を称える名言だと思っていたのですが、そうではなかったんですね。努力に努力を重ねたとしても、最後に1%の「直感」がなければならない、という深い言葉。時に私たちはついつい努力することが目的になってしまいがちですが、そうではなく、あくまでも努力することは目的を遂行するために行う行為なんですよね。なんだかエジソンさんに「分かりもせずに、使うんじゃない!」と頭にガツンを活を入れられた気がしました。

「人だよ。ここを人で埋める。そうしたら本当のショーが始まるんだ」

ウオルト・ディズニー(ディズニー創業者)
ウオルト・ディズニーはアニメーションの先駆者であり、ミッキーマウスの生みの親。ディズニーランドの開園前、ディズニーは「忘れないでくれよ。最大のアトラクションはまだここに来ていないんだから」と言ってから、こう答えた。その後、人で埋め尽くされたディズニーランドは、アメリカ文化のシンボルとして他国でも展開されるのだった。

同上

まずディズニーランドというテーマパークを作ろうと思い、さらに実際に行動に移して作り上げてしまったという並々ならぬパワーに敬意を表したいですね。そしてスタッフは「キャスト」で、お客は「ゲスト」。ディズニーランドという舞台で皆がそれぞれの役割を演じているんだ、なんていうストーリーもありますが、本当によく出来ていますよね。とにかく相手思考(つまりはお客のことを考えて行動していた)だということですよね。施設や設備、スタッフが整っても、そこに肝心要のお客さんがやってきて楽しんでくれないと始まらない・・・これぞ客商売の鉄則であり、神髄ですね。ちなみに余談ですが、ディズニーのテーマパークフランチャイズ業が最も成功したのが日本だという話を耳にしたことがあります。なんだか誇らしいですよね。

「次の作品」

チャップリン(喜劇役者)
チャーリー・チャップリンは喜劇役者、脚本家、映画監督の顔を持つ。絶頂期にあったチャップリンは、「あなたの今までの作品で1番よかったと思っているものはどれですか?」という問いに、迷わずこう答えた。決して現状に満足しないその姿勢が、チャップリンが史上最高の映画監督とも言われるゆえんだろう。

同上

いやー、どうなんでしょう?毎回質問されて、若干「うんざり」していたんじゃないかな、なんて思ってしまうんですが、どうですか?きっと彼としては過去に製作または出演した作品の中で、もちろんお気に入りの作品があるんだと思うんです。が、絶対にそれ以上にいい作品を、次こそは作ってやる!という心意気だったんじゃないでしょうかね。そうした飽くなきチャレンジャー魂で、前回の自分を超える努力をされたのではないかと思っています。

「これから勉強します」

オードリー・ヘプバーン(女優)
オードリー・ヘプバーンは「ローマの休日」でアカデミー賞を受賞し、無名の女優から一気にハリウッドスターに駆け上がった。受賞スピーチで彼女が言った言葉がこれ。彼女はこの言葉通りに勉強を続け、勢い衰えることなく、「ティファニーで朝食を」「マイ・フェア・レディ」などの名作の主演を次々と務めた。

同上

たしか初主演作品でオスカー受賞というのは、「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーンが最初だったと記憶しています(間違っていたらすみません!)。作品も素晴らしかったですし、何より銀幕でのオードリーは本当に輝いていました。それは今見ても決して色あせませんよね。そんな新人俳優が怱々たるメンバーが集結し、誰もが欲しくて堪らない栄冠を手にしてしまったわけですから、そこは彼女の奥ゆかしさと謙虚さ溢れる言葉で一気にその場をかっさらってしまったのだと思います。

ここで偉そうなコメント、誰かの名言を引用するなど、ちょっと格好つけたら一気に不評を買ったでしょうが、この言葉ですからね。きっとその場にいたスターたち、さらにはスタッフやテレビ(が当時あったのかな?)で視聴していた視聴者たちをも虜にしちゃったでしょうね。やっぱり言葉って本当に大事だなとつくづく思いますね。ちなみに余談ですが、残念なことに「マイ・フェア・レディ」では吹き替えになってしまいましたが、「ティファニーで朝食を」では彼女の歌声を聞くことが出来ます。ちょっとハスキーなささやくような歌い方で、私は結構好きです。

「30分も眠ると、つらくなるから、10分で起こしてください」

手塚治虫(漫画家)
手塚治虫は「鉄腕アトム」や「ブラック・ジャック」などの傑作を生み出した「漫画の神様」。手塚は眠っても2,3時間程度で、そのわずかな睡眠時間さえ削るときがあるほどであった。そんな手塚の最後の言葉は「となりの部屋へ行くんだ。仕事をする。仕事をさせてくれ」。死の直前まで命を削りながら、手塚は漫画を描き続けた。

同上

今回ラストを締めくくるのは、漫画界の王様、手塚治虫さんです。ものすごい量の連載を抱えながら、しかも内容も素晴らしいという、まさに天才!!とはいえ、単に天才だから、で終えてしまうのはあまりにも失礼。手塚さんは漫画を日本を代表する芸術分野の一つに昇華させた第一人者ではないかと思っています。かつてディズニーの「ライオンキング」が、手塚さんの「ジャングル大帝」に似ているのではないか?という話が物議を呼んだことがありましたが、どなたかが「きっと手塚先生なら敬愛していたディズニーの参考にされたと知ったら喜ぶのでは?」と仰っていましたが、私も今ではそう思いますね。ま、手塚作品へのオマージュであればいいんですけどね。(本当にパクっていたのであれば、問題ですが・・・。)

そして今回選んだ手塚先生のワーカホリックぶりですが、令和の時代に読み返すと、なんだか大変だな、とか、そこまでして働くなんて・・・という印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、手塚先生は本当に寝る間も惜しんで、頭の中から湧いてくるイメージをどんどん絵に落とし込んで、ストーリーを作りあげ、続きを楽しみにしている読者に喜んでもらいたい、という気持ちでいっぱいだったのだと思います。最期の最期まで「仕事をさせてくれ」なんて、なかなか言えることではないですよね。あれだけの膨大な作品群をお一人のイマジネーションで作り上げてしまう・・・なんてクリエイティブなお仕事なのか!と感動してしまいます。


ということで、今回は前回よりも有名な方々の残した名言を紹介して参りました。もちろんその道で成功した方の言葉だから、こうして語り継がれているわけですが、その根底には「真剣に生きた」という共通点があるように思います。そうした気持ちで生きてきた、努力を重ねてきたからこその成功であり、その道半ばではきっと挫折もあったことと思います。しかし、そこでも諦めずに歩き続けたからこそ、成功を掴み、そして出てきたのがこの言葉の数々だと思うのです。今回タイトルにも書きましたが、言葉は言霊。言葉には魂が宿る、という日本らしい発想ではありますが、今回紹介した言葉もまた、そうした魂のこもった言葉であると思うのです。

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