【映画】4DXで3時間半のアトラクション~ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
先週の「旅の仲間」に引き続き、観てきました「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」。前回も少し触れましたが、映画の「シリーズもの」では二作目が面白いと成功する、という勝手に思っています。実はこのシリーズに関しても三作目の「王の帰還」よりも出来が良いんじゃないか、と勝手に思っているほど大好きな本作。そして何といっても今回は4DX!3時間半の長丁場、ノンストップのアトラクションに乗っているような楽しさが加わり、大満足でした。ということで今回もひたすら「ロード・オブ・ザ・リング愛」を語り尽くしたいと思います!(笑)
「旅の仲間」離散!3グループに分かれて旅は続く
1作目の「旅の仲間」は9人のメンバーが共に行動していくシンプルなストーリーだったのですが、今回は前作のラストの通り、3グループに分かれて旅を続けていきます。フロドとサム(+ゴラム)、メリーとピピン、そしてアラゴルン、レゴラス、ギムリチーム。それぞれが丁度盛り上がるタイミングで話が入れ替わるという、なんとも絶妙な編集でテンポ良く進んでいきます。特にメリーとピピンはファンゴルンの森に住むエント族に出会うのですが、このエントというのが樹木が人間になったようなキャラクターなので、とにかくのんびり。じれったくなりながらもユーモラスで憎めないんですよね。
やっぱり憎めないといえばゴラムでしょう!
そして二作目からいよいよ主役を食うキャラクターに成長するのがゴラムですね。監督のピーター・ジャクソン、そしてフラン・ウォルシュご夫妻も大好きなキャラクターということで、相当魅力的に描かれています。指輪を長年持ち続けたために、心を蝕まれた哀れな存在(しかも指輪の手に入れた経緯もまた・・・複雑なんです)。実は彼はかつてホビット族に近い種族であり、「良心」を持っていた(はず)なんですね。
フロドは現在の指輪保持者として、いずれ自分も彼のようになってしまうのではないか、という考えから、なんとかゴラムを救いたいと苦心します。しかしサムはゴラムを救うのは難しいと考え、フロドの取り組みに反対します。このあたりの駆け引き、今観ても非常に良く出来ているな、と改めて思いました。何より一番のシーンは善(スメアゴル)と悪のゴラムがまるで二人いるかのように互いが論争する場面でしょう。本当に素晴らしかった。
コメディリリーフに徹したギムリに拍手!
そして二作目から急にコメディリリーフとして劇中のお笑い担当の一人(というのもメリーとピピンという名コンビもいるので・・・笑)になったドワーフ族のギムリが画面を一気にかっさらっていましたね。実はエルフ族とは犬猿の仲なのですが、徐々にエルフの王子レゴラスと友情を深めていくというのもいいストーリーなんですよね、二人で敵を倒した数を競争するシーンも有名ですが、ヘルム峡谷での戦いにてアラゴルンにドワーフ族として一番屈辱である「ドワーフ投げ」を恥ずかしながら頼むシーンなども良かったですね、シリアスな戦争シーンでちょっとしたお遊び(箸休め)になっていました。これもすべて名優ジョン・リス=デービス氏の演技の賜物(ともちろんピーター・ジャクソンの演出力)。彼は前作のDVDコメンタリーでも「この作品は間違いなく傑作になる!」と断言していましたからね、このシーンを何度観たことか!笑。
エントたちの怒りにソーラーパネルだらけの森を想起
劇中、ダークサイドに堕ちたかつての白い賢者サルマンが手下どもに彼の根城であるアイゼンガルド付近の木々を軒並み切り倒し、武器などを製造していくわけですが、それでも足りなくなって古からの森であるファンゴルンの森の木々にまで手を付けていきます。そこへ禿げ山になった森を見て、エント族が怒り、反撃に出ていくのです。が、このシーンを観ながら、なんだか現代で言うと日本の山々に見るも無惨に敷き詰められているソーラーパネルを思い浮かべました。たしか原作者のJ・R・Rトールキン氏は工業化していく祖国を嘆いて描いたと言われていますが、令和の日本でいうとソーラーパネルかな、と。いつかエントたちの怒りを買うんじゃないか(ま、つまりは罰が当たるという意味で)と思いますね、良くないですよ、あんな森林を伐採して何が自然エネルギーなんでしょうか。
ついついコメンタリーを見過ぎたので、その影響で・・・
今回の上映、嬉しいことに「スペシャル・エクステンデッド版」。これまでDVDでしか観られなかったものが大スクリーンになったということなわけですが、私はDVDが発売してから、相当な回数視聴しておりまして(しかもそのほとんどが俳優または監督チームのコメンタリー)、つい裏話が頭の中をよぎって仕方なかったです(笑)。たとえばアラゴルン(ビゴ・モーテンセン)がメリーとピピンが死んでしまったと思い、兜を脚で蹴るシーンがあるんですが、たしかここで本当に脚の骨を折ってしまったんだよな、とか。さらにはヘルム峡谷の洞窟シーンではフロド役のイライジャ・ウッドの妹さんが登場していたり、前作に引き続き、ピーターとフランご夫妻のお子さんも映っていたり、ビゴ・モーテンセンのお子さんもローハンの若い兵士としてカメオ出演してたり・・・とか。
そんなところまでついつい確認しちゃってました。そして一番の傑作はラスト。ヘルム峡谷の戦いに勝ち、オークたちがファンゴルンの森へ遁走し、反撃に遭うのを目にしつつ、アラゴルンやガンダルフたちが集結するシーン。なんとエオメル役のカール・アーバンではない方が馬に乗っているじゃないですか!というのも、ピーターのコメンタリーによると、あとで顔を合成するはずが、間に合わなかった・・・とのこと。そんな細かいちょっとしたクスッと笑えるネタまでしっかり確認したりしていました。
そして傑作は終盤のヘルム峡谷の戦い!
この二作目が素晴らしい点は数限りなくあるのですが、ラスト1時間弱に渡るヘルム峡谷の戦いでしょう。そしてこの戦いに向けて、少しずつ全編で感情の起伏を付けた演出がなされ、さらには編集にてさらに味わい深いものに仕上がっている点でしょう。戦争映画ファンでもあるピーター・ジャクソン監督が練りに練った演出が冴え渡るバトルシーンになっています。コメンタリーでも「戦争シーンは始まる前が大事なんだ」とか「3ショットに1回はヒーローたち(アラゴルン、ギムリ、レゴラス)を入れた」などなど細かな演出プランまで披露。
たしかに全くダレない「Best War Scenes Ever」の一つかもしれません。途中、ハルディアの死、などドラマチックなシーンもありますし、とにかくラスト、セオデン王が諦めかけていたところにアラゴルンが彼を鼓舞し、華々しい最期を飾ろうと打って出るシーンからの、ガンダルフとエオメルたちが山の上から勇猛に駆け下りるという名場面!これを大画面で観られる日が来るとは!涙。
ボロミア、ファラミア兄弟の友情に涙
そして忘れてはならないのが、ローハンと並ぶもう一つの人間たちの国
ゴンドールの執政一家のボロミアとファラミア兄弟の物語でしょう。これは本編では泣く泣くカットされてしまった名シーンが復活しており、まるでシェークスピア劇のような複雑な父子関係と兄弟の永遠の友情が描かれています。もちろんDVDでは観たことがあるわけですが、やっぱり違うんですよ、大画面と大音響は。というか、ボロミア役のショーン・ビーンは特別編(スペシャル・エクステンデッド・バージョン)のためだけに再度ニュージーランドで追加撮影をしているんですよね、なんて贅沢な!これらのシーンを観ると、なぜボロミアがあそこまで指輪を渇望していたのか、さらには長男を可愛がる一方で、次男(ファラミア)を邪険にする父、そして父からの愛情を欲しがるファラミアの苦悩・・・と今にも通じる人間ドラマが細微に渡って描かれています。ここに関してはやっぱり劇場で観ることで、改めて感動したシーンの一つでした。
結論・・・★★★★★(五つ星)!
ということで、結論ですが、サイコーだった!ということで(笑)。もうこんなエピソードだったら、ずーっとできるんじゃないか、というくらい全編ワクワクしながら、あっという間の3時間半でした。来週はいよいよ「王の帰還」です。もちろん観に行くつもりですが、これで終わりなんだよな、と思うと少し寂しくなるんですよね。たぶん、そんなのもあって第二作が好きなのかもしれません。とはいえ、今回は年末からなんと新作「ローハンの戦い」がありますからね!こちらも楽しみです。