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【ビジネス本再読】「EQ:リーダーシップ」④~前向きなリーダーシップ・スタイル

アメリカ大統領選挙はトランプ元大統領の返り咲きという130年ぶりに元職が復帰する結果に終わりました。混迷する世界にトランプさんがどう対処していくのか、さらには日本はどうなっていくのか・・・?といろいろ興味深くなってまいりました。さて、このように国の舵取りをする大統領や首相の仕事こそ「リーダー」の役割ですよね。あまり夢物語を語れるほどの余裕のない現代ではありますが、それでも少しでも世界が良い方向になってほしいと願わずにはいられませんね。ということで、このnoteの中だけでもEQを兼ねそなえ理想のリーダー像を一緒に考えてみませんか?



ビジョン型リーダーシップ~社会事務所所長リーロイのケース

前任者の負の遺産によって組織が硬直化してしまった。そこでリーロイは所員たちから一対一で話を聞き、ミッションを自分と共有する所員がいることを知った。そして、このビジョンが事業所を変革していく努力を支えてくれるだろうと感じ、その感触に懸けてかけてみることにした。

リーロイはこの前向きな話題を捉えて、所員たちとの対話をはじめ、自分たちはどんな夢を求めているのか、それはなぜか、について考えるきっかけを与えた。所員たちに将来の希望を語らせ、同情や献身の気持ちを引き出した。その後、リーロイは折に触れてこのビジョンを言葉にし、事業所で働く自分たちを支える共通の価値基準に言及した。

ダニエル・ゴールマン「EQ:リーダーシップ」より抜粋

チームビルディングの第一歩ですよね。特に前任者のマネジメントがあまり良くなかった場合は、このようにしてスタッフたちからヒアリングと共に、ビジョンを共有し、明るい未来を示して共に動いていくというのは非常に効果ありだと思います。ただ、これは本当にしんどい作業で、リーダーは本心から「このチームを良い方向に導きたい」と信じ切らないと、なかなか良い結果は出ないと思います。というのも、スタッフたちは前任者に裏切られているわけですから、そうすぐには新任者を信頼しないと思うんですよね。ですから、彼らから信頼を勝ち取るためにも、半年、1年と時間を掛けて、自分を認めてもらわなければならない。一方、上層部からは早々に結果を出すように圧力も掛かるわけで、このあたりのプレッシャーたるや!(←実話。経験者は語る笑)

ビジョンの共有が共鳴を生む

ビジョン型のリーダーは感情風土を協力に上向かせ、組織の精神を様々なレベルにわたって変容させる。彼らは目指すところを言葉で描いて見せるが、そこへ到達する方法は押し付けない。部下達が自由に考え、試し、計算されたリスクを冒して道を見つける。すると全員が一つの目標に向かって努力しているという自覚から、チームのコミットメントが生まれる。人々は、組織に属していることを誇りに思うようになる。

賢明な企業ならば、自社のビジョンやミッションが社員にとって独自の「ブランド」となり、同業他社から自分たちを差別化するメリットになりうることを知っている。部下達に常により大きな目標を意識させることによって、彼らは、組織全体の目標と自分たちの利益が同じ方向性を共有していること理解する。そしてその結果、労働意欲が高まる。

同上

まさにその通り・・・なのですが、基本は山本五十六元帥の言葉のように「やってみて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」なので、まずは自分が率先垂範。しかも、単に「こうやってほしい」だけでは、面従腹背になってしまうこともあるので、相手の心にストンと落ちるよう、意図を伝え、さらにはその行動を取ることによって相手と自分に「理(徳?)」があるよう、効果を実感してもらわないと、習慣にはならないので、そのあたりが本当にしんどかったですね。最初はそうやってそれこそ必死に「雪だるまの中心核」を作っていくイメージでした。そして少しずつ時間が経つにつれて雪だるまがどんどん大きくなっていく・・・という感じですかね?そうなると徐々にスタッフが自分の頭で考え始めて、自分たちの裁量でお客様のために動き始めた感じでした、私の場合。

ディズニー、サウスウエスト、リッツカールトン

いずれ私が「サービス」、「ホスピタリティ」を勉強するにあたり、関連本を貪り読んだ企業群です。いずれも現場裁量がしっかり準備されているんですよね。特にリッツカールトンの「10万ドル(円)までは現場のスタッフ判断で使うことが出来る」というのが一時期伝説と化していたように記憶しています(10万ドルか10万円だったか忘れてしまいました・・・汗)。要は現場のスタッフが考えて、お客様のためになるのであれば、この額までなら上役の許可はいらない、ということ。何もその額を使いなさい、ということではないんですよね。またディズニーにしろ、サウスウエスト航空もとにかくお客様を愉しませるということにかけては世界トップレベル。スタッフたちに100%の力をお客様に集中してもらうため、オペレーションや煩雑な事務や庶務を極力廃して、効率よいマネジメントをしているんでしょうね。イライラしていたら、そうしたサービスに気が回りませんからね。

ビジョン型リーダーのコンピテンシー(行動特性)

彼らはEQの最大要素である「自信」「自己認識」「共感」とともに「鼓舞激励」のコンピテンシーを発揮することによって、自分が心から信じる目的を表明し、それを部下達の価値観と調和させることが出来る。このようなリーダーは自分のビジョンに確信を持っているので、部下達を力強く導くことが出来る。

このリーダーにとっては、EQコンピテンシーの中でも「共感」が最も重要になる。他者の気持ちを汲み取ることが出来てこそ、部下達を心から奮い立たせるビジョンを表明することができるのだ。人の気持ちが読めないリーダーは、部下を奮い立たせることは出来ない。ビジョン型のリーダーシップには前向きのインパクトがあるので、色々な状況に適応できるが、とくに組織が目標を失って再建策や新ビジョンを必要とする状態にあるときに有効である。

同上

チーム作りの初期においては、ある意味「異常」なくらいのチームへの情熱が必要なのだと思います、もし本気でより良い組織にしたいと思うのであればですが。その際には「共感力」が重要、という著者の意見には100%賛成です。相手(というかチームメンバー)がどう考えているのか、これを感じ取る力が無ければ、早晩崩れてしまうからです。そして地道にチームメンバーの信頼を勝ち取り、さらに常にビジョンを示し続け、少しずつ結果を出すことで、一人また一人と賛同者を増やしていく・・・そんな辛く長い道のりだと思います(←実話。だいぶ脚色していますが・・・笑)。

上手くいってきたな・・・と思ったら、内部で離反が起きたり、一番信頼していた右腕に裏切られたり・・・なんてことも起きたり。しかし、そんな内部のゴタゴタを越えた後は、よりチームも結束し、自分と価値観を共有できる仲間だけが残っていたりするものです(これも実話)。ただ、こう書いていますが、当時は結末など分からないわけですから、自分のやっていることが本当に実を結ぶのか、それとも上手くいかないのか・・・など毎日ハラハラし通しでした。だからこそ、こうしてたくさんの本を貪り読み、なんとかして日々の運営のヒントを探し、より良いチーム作りを渇望していたんだと思います。そしてここで書かれているように、リーダーにもチームの状態次第で役割が異なるわけで、チーム創世記から安定期に入ると、スタンスを変えなければいけないんですよね。ところがこれがなかなかスイッチの切り替えというのは難しいものでして・・・汗。それはそれで苦労したことを覚えています。ということで、これはまた別の話、ということで(笑)。

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