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【映画】若返りのウィスキー。あなたならどうする?~「アーサーズ・ウィスキー」
ちょっとほっこり。後味スッキリの映画を見てきました。それが「アーサーズ・ウィスキー」です。例によって相変わらず、善人メインの心温まる系映画をよく見ているので、今回もまさにそんな自分にはピッタリの作品でした。
まずは恒例のあらすじから
発明家だった夫が他界し、彼の作業場を片付けていたジョーンと親友リンダとスーザンは、秘密裏に蒸留されたウイスキーを発見する。ウイスキーを飲んで眠ってしまった3人が目を覚ますと、なんと身体が若返っていた。バーやナイトクラブに繰り出してみたものの、自分たちがすでに若い精神を失っており、身体も数時間で元に戻ってしまうことがわかる。ウイスキーが残っているうちに願望をかなえようと考えた彼女たちは、一番の夢であるラスベガス旅行を決行することに。ラスベガスで過ごすなかで、ありのままの自分でいることの大切さに気づく3人だったが……。
はい、まさにこのあらすじ通りのストーリーです。出だしが「ビートルジュース」的な劇画タッチで始まるところからして「この作品はファンタジーですよ」と断っている感じで面白かったですね。とはいえ、なぜこのご主人は若返りのウィスキーを創りたかったんでしょうかね?このあたりは謎のままとなっています。
現在、過去、いずれの3人組も相当「魅力的」!
まあ、この手の作品では当然と言ってしまえばそれまでなんですが、現在の3人組も、過去の若い時代の彼女たちもいずれも素敵なんですよね。一見、歳を重ねた現代の彼女らも、酸いも甘いも経験し、素敵な今を送っているように見えましたからね。とはいえ、そんな彼女たちにも「あのときにもう一度戻れたら・・・」という、過去への後悔があるわけでして・・・ってこのネタもまた恒例ですよね。結局、人間って誰しも「過去への後悔」を背負って生きているんでしょうね。ちなみにウィスキーのおかげで若さを取り戻した彼女たちの現代からすると「古風」な着こなしですが、これがかえって丁度いい古さで上品に見えました。
とにかくありとあらゆるバックグラウンドのてんこ盛り!
親友同士でも話せなかった秘密があり、それを告白して、なんとか若さを取り戻してやり遂げたい!というのが彼女たちの共通の思い。ということで、それぞれに様々なカミングアウトが披露されます。が、正直、ここは賛否が分かれるところだと思います。あらゆる人種が出てきますし、それこそ今流行のDEI(多様性・公平性・包括性)的なセクシャリティの問題などなど。これは「ちょっと盛り込みすぎなんじゃないの?」と思わなかったわけではないですが、まあ、全てがテンポ良くどんどん進んでいくので、あまり考えすぎずにコメディとして流しちゃってほしいところです(笑)。
結論・・・やっぱり、「今」が大事。自分を大切に生きよう。
ということで、そりゃそうだよね、というオチで締めくくります。長年の夢でもあった「過去の自分に戻れたらやりたいことリスト」をある程度クリアし、今の姿のままでラスベガスで大はしゃぎする姿はこちらまでニヤけてくる気分になりました。いいじゃないですか、いくつになってもこういう羽目を外したって。どんどん元気を取り戻している所も良かったですね、こうありたいじゃないですか、いつだって。ただし、自分が彼女たちの年齢でスカイダイビングに挑戦できるかというと・・・不安しかないですが・・・笑。
やっぱりダイアン・キートンが素晴らしすぎた!
名コメディエンヌ、古くはウディ・アレン作品のミューズとして数々の映画で主演し、その後はシリアスものからコメディまで幅広い作品に出演してきたダイアン・キートン。ウディ映画であればオスカー受賞の「アニー・ホール」もいいですが、コメディといえば「マンハッタン殺人ミステリー」もオススメ。一方のシリアス劇では「インテリア」ですかね、とにかくウディ映画でのダイアンはどれもが超魅力的です。
そして私が大好きなのが「ファースト・ワイフ・クラブ」です。気がつくと、この作品でも元夫と酷い別れ方をした奥様役でした。ダイアンだけでなく、ゴールディ・ホーン、ベッド・ミドラーという大女傑そろい踏みで、爆笑演技のオンパレード!ラストの「You don't own me」の大熱唱もサイコーでした。また、彼女はこのような女性の友情モノに多数出演しており、「また、あなたとブッククラブで」という作品でもまたジェーン・フォンダ、メアリー・スティーン・バージェン、キャンディス・バーゲンという名優たちと共に息の合ったやりとりで楽しませてくれました。ちなみにこちらは続編が製作されていると言うことなので、こちらも楽しみです(一時期は、「ファースト・ワイフ・クラブ」も続編が噂されていたのですが、結局流れてしまったようで、こちらは残念でした。しかし、アカデミー賞授賞式のプレゼンターとして3人の主演女優が登場したシーンは傑作でした!笑)
ところで・・・あなたならどうする?飲みたいですか?
40代、いや、そろそろアラフィフ世代の筆者としては、まだそれほど若返りを切望してはいないのですが、主人公たちのように70代くらいになると、そう思うのかもしれませんね。とはいえ、繰り返しますが、メインの3人は(当たり前ですが)端から見るととてもキレイに歳を重ねている様子なので、そこまで過去に固執しなくてもいいのにな、とは思いました。が、やっぱり身体の自由が利かなくなったり、少しずつ持病などもあり、先行きに不安を感じてきたとしたら、「ああ、一度くらい昔のように動きたい」「もう一度、昔に戻れたら、やれなかったことを全部やりたい」と思うのかもしれませんね。
これって結局、人類共通の願望なのでしょうね、確かに今20代に戻ったら・・・1日、2日徹夜しても全然元気なんだろうな・・・とか、もう一度、思いっきり豚骨ラーメンを替え玉して腹一杯食べたいな・・・とか・・・というか、なんだかレベルが低すぎですかね(笑)。