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【映画】ギバちゃんがカッコ良すぎた!~「室井慎次 敗れざる者」

久方ぶりの「踊る大捜査線」スピンオフ作品、「室井慎次 敗れざる者」を見てきました。TVシリーズ時からのファンとしては本当に嬉しすぎる本作。ほぼ事前情報ナシ(かろうじて予告編レベル)で愉しんできたので、今回はその感想をまとめていきたいと思います。結論から言うと・・・タイトル通り、柳葉敏郎さんがカッコ良すぎました!笑。


まずはいつも通り「あらすじ」から

これまで現場の捜査員のために戦い続け、警察の組織改革に挑むなど波乱に満ちた警察人生を歩んできた室井慎次。27年前に青島と交わした約束を果たせなかったことを悔やむ彼は、警察を辞めて故郷・秋田へ帰り、「事件の被害者家族・加害者家族を支援したい」との思いから、少年たちと穏やかに暮らしていた。ある日、室井の前に謎の少女が現れる。彼女の来訪とともに他殺と思われる死体が見つかり、室井はその第一発見者となってしまう。その少女・日向杏は、かつて湾岸署が逮捕した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だった。

映画.comより抜粋

冒頭からファンには堪らない名場面集が!

ということで、今回は室井さんがすでに警察を引退し、故郷の秋田に戻り第二の人生をスタートさせているところから始まります。これまでの「踊る」っぽい速い展開ではなく、ゆっくりと、そして淡々と室井さんの生活が描かれていきます。が、ファンには堪らないサービスも欠かさないのが「踊る」シリーズ。しっかりTVシリーズ&映画版の名場面ショットが挟み込まれており、見ながらついニヤニヤしてしまいました。


これまでベールに覆われてきた室井慎次の日常が良かった

ここは賛否分かれる点かもしれません。というのも、先ほど紹介したとおり、これまでの「踊る」シリーズとは異なり、とにかく「ゆっくり」。とはいえ、私自身は見ていて非常に心地よかったです。なぜなら、すでに室井さんは激動の警察人生を一足先に終えて、リタイア生活をしているわけですから。故郷の秋田(とはいえ地元ではない場所での隠居生活という設定)で人里離れた民家をセルフリノベーションしていく奮闘シーンにはなんだかジーんと来ました(あの室井さんがDIYしている!!みたいな笑)。


「事件被害者・加害者の子どもを支援する」というのも室井さんらしい

そして今回の室井さんはなんと事件被害者・加害者の子どもたちの支援ということで里親を始めます。繰り返しますが、あの室井さんが父親に!ご飯を作ったり、子どもたちと一緒にご飯を食べたり、慣れないキャラ弁を作ったり・・・とこれまで描かれてこなかった一面が本作ではたっぷり楽しめました。これだけで古くからのファンは大満足だったのではないでしょうか?室井さんの畑仕事なんてかつて想像できました!?笑。そして慣れない子どもたちとの距離感、そして里親とは言え彼らの父親代わりに奮闘する光景がちょいちょい微笑ましい。これまで眉間に皺を寄せ、寡黙で仏頂面だった室井さんも子どもたちを前に悪戦苦闘。それでも十分な愛情は伝わってきました。

「踊る」シリーズの懐かしい面々との再会シーンに感動!

TV&映画の名場面では懐かしの湾岸署メンバーや青島&すみれさんといった面々が登場しますが、それだけではなく、しっかり出世を果たした元湾岸署メンバーも登場しました。特に湾岸署警官だった森下くんと緒方くんが共に出世して室井さんと再会したシーンは良かったですね。室井さんを見かけると、ついかつての「上司・部下」の関係に戻るあたり。見ているこちらも嬉しくなってしまいました。そして最高だったのが、「室井二号」と呼ばれた新城とのエピソード。囲炉裏を二人で囲みながら酒を酌み交わすやりとりは堪らなかったですね。いろいろありつつも、徐々に室井さんに理解を示し、共に警察機構を改革しようと取り組んだ二人が時を経てこうして和やかに共に時を過ごす・・・カッコ良すぎました。

そしてコート姿になる瞬間には「あの」テーマソングが!!

劇中、室井さんはほとんどが作業着姿なのですが、訳あって正装をしなければならない場面があるのですが、ここでは「踊る」シリーズではおなじみの室井さんのテーマソングがかかりました!ここは超、胸熱になりましたね。そうそう、これが掛かると室井さん登場なんだよなーと。でも今回の作品はほぼほぼ常に室井さんは登場している訳ですが、やっぱりコートにスーツ姿になったら、これでしょう。立ち振る舞いが良いんですよね。それに第二の人生に入っているわけですが、身体に捜査が染みこんでいるという設定もまた室井さんらしくて良かったです。

さりげなく「社会問題」を入れてくるのが「踊る」っぽい

これはさすが脚本家の君塚さん!というか「踊る」シリーズらしい「今」を取り入れた内容の吟味が素晴らしかったです。基本的には娯楽作品なのですが、どこかに社会問題を織り交ぜる塩梅がいいんですよね。特に今回の「事件被害者・加害者の子どもたち」という設定は、これまであまり見聞きしたことが無かったので、非常に新鮮でした。特に齋藤潤さん演じる事件被害者が犯人と対峙し、キッパリと胸のうちを伝えるシーンは見応えがありました
。ちなみに齋藤さんは「カラオケ行こ!」でも演技が上手だな・・・と思っていましたが、どうやら本広監督も同じように思ってオファーしたそうです。このシーン、本当に良かったです。本作のハイライトといってもいいと思います!

室井さんの「俺は負け犬」発言の重み

私は生粋の「踊る」ファンなので、再びこの世界観に触れることが出来ただけで大満足の2時間弱でした。とはいえ、一方で「長い予告編」だとか「つまらなかった」という方もいるかもしれません。というのは、本当にその通りで、基本的には大きな出来事が起らないのです。淡々と室井さんの新しい日常が描かれ、さらにはこれまで触れられてこなかった室井さんの生活臭を垣間見ることができました。そして何よりも「なぜ、室井さんは早期退職したのか?」ということです。劇中、室井さんは「青島との約束を果たせなかった」と吐露します。そしてさらに「俺は負け犬だ」とも。

この言葉って重いですよね、もちろん現場で這いつくばって、「事件に大きいも小さいもない」「現場の声が上に届くようにして欲しい」と切に願い、必ず室井さんならやってくれると信じて毎日を送る青島の期待に応えようと、官僚機構である警察庁で奮闘してきた室井さんも、組織の壁にぶち当たり、ついには離職を決意するわけです。このやるせない気持ちといったら・・・!なんとかコトを成し遂げようと、自分なりには最大限の力を出したけれども、それでも乗り越えられない壁に阻まれ・・・。誰にでも一つや二つ、歳を重ねればそういう経験があるのではないでしょうか?このシーンにもやられましたね。

物語は「to be continued」。後編「生き続ける者」も期待大!

ということで、いよいよ物語が動きそうなところで今回は終了。楽しみは後編公開までお預け、ということになりました。サービス精神旺盛な本広監督のことですから、きっとファンの喜ぶサプライズ演出があるのでは?と期待しています(ただ、監督はやたらと登場人物が亡くなりそうになる・・・という設定が多い印象なので、それは今回使って欲しくないな・・・)。そして脚本の君塚さんは超ベテランですし、群像劇の名手。そして元々はコントの脚本も書かれていた芸達者(「レインボーブリッジ」のネタ、私は大爆笑でした!笑)。ご自身も監督をされるほどの方ですので、こちらも併せて期待です。そしてプロデューサーの亀山P!インタビューによると「これが室井慎次の見納め」とコメントされていますので、後半がどうなることやら・・・!とにかく室井さんには「生き続けて」ほしいです(笑)。





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