無料低額診療事業についてわかりやすく解説します
病院勤務をしていると、「体調が悪くて(身体が痛くて)受診したいけど、お金がないからできない」、「急に入院することが決まった(高額な治療が必要になった)けど、お金がないから無理です」というような相談を多く受けます。
このように、経済事情によって”体調が悪いのに病院に行けない”と悩んでいる人は少なくありません。
そのような人をサポートしてくれるのが”無料低額診療事業”という制度です。
しかし、こういった制度があることを知らなかったり、知っていても詳細がわからない人がほとんどでしょう。
本記事では、内容を整理して、わかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
社会福祉法第2条第3項に基づいて、生計困難な方が経済的な理由により必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療する制度です。
・低所得者、または低所得世帯で、医療費の支払いに困っている方
・病気や障害などで収入がなくなり困っている方
・リストラや失業のため一時的に収入がなくなり困っている方
・医療費の支払いをすると生活が困難になる方
・その他(住所不定の方、破産をされた方、外国人の方、DV被害者など)
※収入が生活保護基準の1.2倍〜1.4倍程度の方は無料、または低額になる可能性があります。
・医療機関での診療費(食事療養費やサービス費を含む)
※院外処方箋による調剤薬局でのお支払いなどは対象になりません
・無料低額診療事業 実施医療機関
・自治体
・福祉事務所
・社会福祉協議会
無料低額診療事業 実施医療機関に直接相談する場合は、その医療機関の医療ソーシャルワーカーに相談してください。
治療内容や身体状況、生活や収入の状況などを確認し、公的な制度の利用も含めて相談を受けてくれます。
地域行政は、無料低額診療事業 実施医療機関を紹介してくれたり、地域によってはその医療機関の医療ソーシャルワーカーと直接連携をとってくれることもあります。
プライバシーは厳守されますので、ご安心下さい。
・保険証(なくても申請は可能です)
・経済状況がわかるもの(給与明細・所得証明書、通帳、年金証書など)
・印鑑(申請書に署名・捺印が必要です)
申請後、医療機関にて審査があり、対象となれば無料・低額診療券が交付されます。
経済的に悩んでいる世帯も安心して診療を受けられるように国がサポートしているのが無料低額診療事業です。
しかし、すべての医療機関が事業を実施している訳ではありません。(私の住む地域では5箇所の医療機関が実施しています)
このため、まずは地域行政やかかりつけ病院、お近くの病院に相談してみてください。
審査の結果、対象にならない場合でも、他の社会資源の紹介や分割支払いなど、相談に応じて医療ソーシャルワーカーが一緒に考えてくれます。
相談は無料ですので、お一人で悩まず、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。