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父親になって思うこと

「拝啓 野原ひろし様」という広告を見て、家族のことをnoteに書きたくなった。

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父親になって10年経ったいまでも、僕は「いいパパってなんだろうか…」と考えることがある。一日の生活を通して、エッセイ風のnoteにしようと思う。

■日常を切り取る写真たち

朝、電車に揺られながらスマートフォンでこどもたちの写真を見る。
毎日なんとなくしている習慣だ。

結婚して10年。あっと言う間だった。
この10年間で撮った写真は何枚あるだろう。
写真に残せた時間は、どれくらいあるのだろうか。

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僕も妻も写真が好きで、スマートフォンのメモリー容量がすぐ足りなくなる。メモリーカードを要領の大きいものにしても、2か月でいっぱいになってしまうくらい撮ってしまう。

「そろそろデータを移さないといけないな」

過去の写真を見返して、不要な画像を削除する。

休日のおでかけ情報を調べたスクリーンショット。

気になって足をとめた、街にある意味不明な看板。

誤操作で撮ってしまった、真っ暗い写真。

妻が「同じもの買ってきて欲しいな」と言っていたハンドクリーム。

画像をいくら削除しても、こどもたちの笑顔の写真がたくさんある。

少しピントがボケていても、くだらない動画でも、一枚たりとも消せない。

これから先、見返すことがあるかも分からないのに、家族と過ごした時間が愛おしくてついつい残してしまう。

何度も何度も写真を見返して、その度に記憶が呼び起こされ心が満たされていく。

過去の記憶は曖昧なのに、あの日の会話、笑顔、泣き顔 ――
抱きしめた温度や風の柔らかさ、かすかな匂いまで、目を閉じれば過去にタイムスリップできるくらいのストーリーが写真の中にある。


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(2歳の記念に撮ってもらった末娘)


■心のよりどころ

仕事の合間、妻から連絡がきていることに気がついた。

「公園の紫陽花がきれいだったよ」
「少し遊んで、お買い物してからお家に帰るねー」

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妻は日ごろ、2歳になった娘とよくお散歩にでかける。
天気のいい日、涼しい午前中に街を歩くと、とても気持ちがいいと話をしてくれた。

他愛もないメッセージでも、仕事中にこどもの笑顔をみれるのは嬉しい。

一緒に送られてきた妻と娘の写真をみると、無条件で目元と頬がゆるんでしまう。帽子をかぶって笑う娘と、日傘をさしてしゃがむ妻の顔はよく似ている。

仕事に戻ってパソコンで天気予報をみると、今日は気温が高くなるらしい。
大雨の可能性も高いと書いてあった。

「これから暑くなるみたいだから、気をつけてね」
「雨は降らないと思うけど、夕立に注意です」

2つ短い返信をすると、また写真をみてにやけてしまった。

できることならオフィスワークを切り上げて、いまから公園に行って一緒に遊びたいくらいだ。それなのに、午後の予定はずらせない打ち合わせがやまほどある。

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もし結婚していなければ、こんな気持ちにはならなかっただろう。
もし一人ぼっちだったら、僕はどんな毎日を過ごしていただろう。

10年以上前に、僕が社会人になって出会った彼女にはこどもがいて、僕は結婚を決めた。

結婚してすぐ父親になって実感のないまま、新しい家族ができた。

いまではこどもが4人いて、働いても働いても毎月の出費は多くて、あまり生活は楽にならないが、それでも楽しい毎日を暮らせていると実感している。

妻は、僕や家族を支えながら、不満をため込まずに素直にぶつけてくれるから、夫婦喧嘩をすることも多いがちゃんと仲直りする。

ふと、腕時計に目をやると外出する時間が迫っていた。

「最近帰りが遅いから、今日は早く帰ろう」

資料をまとめあげるため、仕事から取りかかった。
できることなら、打ち合わせで外出したまま、家に帰れるように。

■家族のルールのつくりかた ** #いい家族ってなんだろう **

妻と結婚したとき、家族のルールを決めたことがある。

・夫婦の会話、家族の会話を大切にする

・家事や育児は一緒にやる。やらないときは一緒に休む

・いつでも帰ってこれるような家にする。家族にする

他にいくつもあるが、当たり前のことのようにみえて実は難しい。
僕に、もともと欠けていたものだったから。

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同棲を始めた頃は共働きで、僕たち家族は毎日の家事や仕事が忙しく、二人の会話が少なくなった。

どこか関係がギスギスし「言った」「言わない」「聞いてない」「分かって欲しい」という言葉が徐々に増えると、お互いに話しかけるきっかけも仲直りするタイミングも見失ってしまい、事態は悪化する。

出張で家を留守にすることも多く、付き合いでお酒を飲んで帰ることもあって、帰宅してから仲直りする気力もなく、毎日の家事を全て任せっきりにしているにも関わらず労う言葉も出なくなる。

「このままじゃ、絶対によくない。悪くなる一方だ。」

その言葉が浮かんで、自然と口から言葉が出た。

家族の会話も、労いの言葉も絶対に必要で、言葉だけではなく、一緒に向き合うことが必要だと気がついた。

その頃の僕は、家事や育児を「言われなければやらないタイプ」の人間だった。でも、結婚して家族になるのなら、変わらなければならない。

彼女は、仕事も家事も育児も完璧にこなし、よく無理をして我慢して、機嫌が悪くなり体調を崩す。自分のやりたいことを後回しにして、不満を極限までため込んで爆発させる。

よくある夫婦の関係、夫婦喧嘩と言ってしまえば簡単だ。

でも、好きで結婚する彼女とは毎日笑顔で過ごしたい。

そこで、僕たちは結婚するときに家族のルールを作った。
役割分担ではなく、家族のルールを。

夫婦喧嘩は日々のコミュニケーション不足や、信頼関係、相手を思いやれないほど余裕がない時におきる。その原因を回避できるようなルールを、二人が納得できるまで話をしてつくった。

僕たちが家族として、毎日ルールを守れるように会話を増やしたとき、
「いつでも帰ってこれるような家にする。家族にする」というルールを守ることができたと思う。

■僕のこれからと家族と #いいパパってなんだろう

夕立の中、駅から家まで走って帰ると全身びっしょりと濡れてしまった。

妻が玄関の鍵をあけ、こどもたちがタオルを持ってきては笑い、僕は急いで服を脱ぎお風呂に入る。

湯ぶねに浸かっていると、こどもたちの笑い声が聞こえてきた。

「パパー!早くしないとパパのアイス食べちゃうよー」

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お風呂から出て、こどもたちをアイスを食べて寝室に見送ると、リビングのソファーに座ってひと休みした。

ビールを飲みながらテレビを横目で見ると、芸能人の結婚や、子育て、育休、年金、働きかた改革など話題のトピックスをコメンテーターが次々に話をしていた。ふと、あの広告を思い出す。

「僕はいいパパをやっているんだろうか」

妻はパソコンで家計簿をつけながら、笑ってあいづちをうつ。

「いいパパってなんだろうね?」
「本当に。正解なんてないんだろうな」
「うん。仕事も頑張って欲しいけど、今日みたいに早く帰ってきてくれたらいいパパなんじゃないかな」
「んー?そうなのかな」
「こどもたちと向き合ってくれれば、いいパパだと思うよ」
「そっかぁ」

いいパパといわれて思い出すのは、アニメにでてくる父親たち。

ドラゴンボールの孫悟空やベジータほど強くなく、ちびまるこちゃんのお父さんや、さざえさんに出てくる浪平やマスオさんでもない。

クレヨンしんちゃんに出てくる、野原ひろしが一番似ていると思う。

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頼りないところもあれば、足がクサイといったところも似ているかも知れない。こどもと向き合い、一緒に遊びすぎて怒られることもある。いざというときは、こどもや家族を一番に守ろうとする存在だ。

Oisixのひろしの広告をみて思った。

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僕も、野原ひろしと同じように仕事でつらいことは山ほどある。
それでも、家に帰ってくるとこどもたちの笑顔に癒される。

「ねぇ、僕はクレヨンしんちゃんに出てくる野原ひろしに似てるかもね」
「どうしたのいきなり?でも… 確かに似てるかも(笑)」

いいパパってなんだろう?

家族にとっての理想のパパなのか、妻にとっての理想の夫なのか。
結婚して10年経つが、まだ答えは探しきれていない。

ひとつ言えるなら、家族のことを最優先する気持ちは誰よりも強いと思う。

妻と出会ってから今まで、その思いは変わらない。

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この広告を出しているOisixも同じだ。

全国の一流生産者と契約し、おいしくて安心・安全な食材を家に届けてくれる。仕事や家事や育児が忙しい家庭のために、安心して食べられる離乳食から、簡単に楽しく料理ができる料理キットもある。

家族といる時間は、みんな笑顔でいたいと願う。

そんなことを考えながら、食べ終わった夕食の食器を洗っていると、妻が後ろから抱きついてきた。


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