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ドキドキの連絡網

小学生のころ、学校から急な連絡事項があった時に使用する連絡網。

今ではあまり聞かないけれど、学生一人一人の連絡先を伝言ゲームのごとく連なって記載されていた連絡網。

ぼくはこの連絡網が苦手で大っ嫌いだった。

ぼくが通っていた小学校の連絡網は男子と女子に分かれていて、少なからず個人でかける難易度は低かったものの他人の家にそれも本人が電話に出るとは限らない状況での連絡はきつかった。

連絡網を使用するときは決まって学校の急な休校時や、天候が荒れて登下校に難があるときなど。

「すみません、○○さんのお宅ですか?」と小学生には普段言葉にすることのない文言を電話口で吐くのは緊張して当たり前。
「○○小学校の○○ですが、連絡網が回ってきましたのでご連絡しました」

という感じで受話器を握って他人の家に電話を掛けたことを覚えている。

とりあえず連絡網ですというニュアンスさえ伝われば、相手の親もすぐ理解してくれるのだが、おじいちゃんおばあちゃんは別。

耳が遠い人達には連絡網なんて単語がわからず、老人が電話に出たらいったん電話を切る。そしてかけ直して別の人が出てくれることを期待する。面倒くさい。

そういえばなんで親がやってくれなかったのか、ちょっと疑問に思ったが、自分でかけなさいと言われた記憶がないこともない。

きっと社会勉強をさせたかったと、この気持ちを飲み込んでおこう。

男女別になるよう連絡網は作られていたがが、その連絡網にはクラス全員の電話番号が載っていた。プライバシーもへったくれもない。

当時好きだった女の子の家の電話番号も、そこには載っていた。

おそらく電話をかける機会などないのだけれど、その番号は他の人の電話番号とは違って虹色のように輝いて見えた。当時は算数が苦手で数字を見ることすら嫌だったが、その数字だけは暗記した。

間違って連絡してしまったとか、○○ちゃんいますか?などと友達を装って電話をかけるなど、理由はいくらでもあった。でもヘタレな小学生の自分にはそんな勇気がない。もしかして相手にも気があって、自分と同じことを考えていて、家に電話をかけてくるかもしれない。

そんな淡い考えもあって、連絡網が回ってきたときはすぐさま自分で受話器を取った。まあ、女子から電話がきたことは一度もない。

あれから時間が経ち、固定電話を手にする機会がめっきり減ってしまった。
LINEアプリという無敵の連絡ツールが生まれて、電話をする頻度も減っている。

少なからず社会勉強になって、暗記ツールとして役に立っていた当時の連絡網。

淡い恋心と共に懐かしさが胸に広がった。


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