スリーピース
私は人に「あなたは優しい人だね」と言われることがある。
それが無意識的なものならいいが、大体はええかっこしいな自分の性格から来ているものだと自覚している。
これと言って特技が無く、秀でてるものが無い私は自分を我慢して周りにやさしくすることで、そこそこの人気と地位を獲得できるんじゃないかという下衆な考えで今まで人生を送ってきた。しかしいつも優しい人というのは非常に胡散臭さを感じさせるものであり、人間味や主体性が感じられない、味気の無い存在になってしまうのである、そのことに気づかず、他人に自分のアピールポイントを尋ねられた時に答えられない社会人になってしまうのである。
優しくないよりマシだろという意見も聞こえてきそうだが、優しくない人は人の目を気にせず、自分の欲求や目的のまま行動する自由な人間と捉えられるのに対し、時間や気力・体力をどうでもいい優しさを生み出すのに浪費している小心者と比べてもその差は一目瞭然だ。
優しさを受けた人がそれをどう思ったのかは関係なく、何か優しいことを人にやったんだという自己満足が脳内に充填され多幸感が訪れる、この悪魔のようなメカニズムが人にやさしさを振りまくことを止められない原因だと私は思う。