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ビジョニングとは何か

ビジョニング(VISION+ING)というのは、僕が2014年の創業時に勝手に提唱した考え方である。文字通り、VISION+ING。ビジョンを掲げ、それを具体的なイメージやアクションに変えていく。そうすることで、額縁に飾られたビジョンではなく、生き生きとした実態になっていく。クリエイティブは未来を先取る技術だからだ。

今でこそパーパスなどと叫ばれているが、2014年当時はこんなこと言ってる人ほとんど居なかった。新しいものは理解されないのが世の常なので、あえて一般的なブランディングと比較することで違いを伝えてきた。ただ最近はそのスライドも使わなくなってきた。

そんな中で、新潟ベンチャーサミットというイベントに出た。博報堂の大先輩であるユナイテッド早川さんに声を掛けていただき、SHONAIの山中さんと登壇。もちろんセッションは盛り上がったが、山中さんから言われた言葉にハッとした。

「ブランディングとの違いとかはよくわかないけど、ビジョニングって自分の欲望を貫くことだと思う」 。確かそのような台詞だった。山中さんはまさに去年、僕がビジョニングで関わらせていただき、社名変更など会社のアイデンティティを一新した人である。

自分の欲望を貫く。まさにそういうことだと思った。ビジョンの敵は、現状最適。我々は自分の意志でやっていると思っても、油断するといつの間にかマーケットの引力に喰われている。自分のわがままで始めたはずが、気がつけば周囲からの要望に応えることで一杯一杯になっている。

最近、Airbnbのブライアンチェスキーの講演でも「起業家はマネージャーモードではなく、創業者モードであれ」という問題提起があったが、それとも通じる考え方だ。

未来ほど、不安定で不確実で弱いものはない。未来は本質的には、現状否定であり創造的破壊なので、今を司る体制派から潰されがちだ。

だからこそ、自分の中で確信を持っていなければならないし、一緒になって信じてくれる人が必要だ。ビジョニングの仕事とは、その人の欲する未来を引き出し、クリエイティブの力で先んじて形にし、周りも信じて走れるようにすること。作家に編集者が必要なように、起業家にもそんなパートナーが必要だ。

僕がやりたいこともまさにそれだ。今の世の中で当たり前とされている価値観や慣習に、異を唱え、新たな提案をし、未来を書き換えてしまう人。そんな“変人”と、誰も見たことない景色を特等席で見たい。ビジョニングの意義を更新できた日だった。

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