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それでも世界は回り続ける

高校生くらいの頃、母親に「世界は自分を中心に回っていると思ってた。でもあるとき違うと気づいたんよ」と言われた。
会話の前後ははっきり思い出せない。
たしか期末テスト勉強の愚痴でもこぼしているときだっただろうか。
そのときは、「ずいぶん偉そうだね」と笑って返した。

自分が世界の中心にいるなんて、なんて傲慢な態度だろうか。
世界には何十億と人間が暮らしていて、誰が1番偉いなんて話はない。
自分中心に物事が進むと思っているなんて子供じみた考えだと思った。
自分はそんなことは決してないと。

しかし、そのときふと疑問に思ったのだ。
学校の期末テストのことで、頭がいっぱいになっている今の自分自身は、自分が世界の中心にいると考えていないだろうか。

当時の自分にとっては、期末テストは日本の総理大臣が変わるよりはるかに重要な出来事だった。
しかし、今思えば、期末テストの出来なんて大した問題ではない。
僕の期末テストの出来がいかなる結果であれ、僕の人生にさほどの影響はなかっただろう。
そんな些末なことを、どうして当時はあんなに悩んでいたのだろうかと不思議に思う。

また、明日から仕事が始まるのが憂鬱だ。
会社に行ったら、先週の金曜日にほったらかしにしたことを片付けなくてはならない。
そして、顧客先から小言をグチグチ言われるのだろう。
いつだって悩み事は尽きない。
当事者からすれば、胃はキリキリするし、溜まったものではない。
しかし、一歩引いて眺めてみてみる。
今の自分の問題がニュースになるわけでもない。
10年前の期末テストのように、10年後はきっと大した問題ではなくなってるのではないだろうか。

夜空を見上げて、自分の小ささに気づくと言うのは、何ともありがちな話だけれど、
案外バカにできないと思う。
そして、その瞬間は自分の小ささを自覚しても、日常に戻ったときに忘れがちだ。
今日も朝日は登り、ニュースキャスターはニュースを読み上げ、マンションの管理者は掃除をはじめる。
自分の問題なんて自分意外誰も気にしていない。
世界はいつもと変わらず回り続けるのだ。

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