「ここにいるみんなの5分を奪いました。」
「電車の踏切の無理な横断があって、電車が一時停止しました。」とアナウンスがあった。
おいおい勘弁してくれよという顔で、スマホから目を上げたとき、おいおい勘弁してくれよという顔をしたサラリーマンと目があった。
妙な親近感を勝手に抱き、ちょっと気分が静まったとき、小学生の頃の先生を思い出した。
「〇〇くんが静かにしなかったので、授業を始めるのが5分遅くなりました。ここにいる40人の5分間を奪ったのだから、200分あなたは時間を奪ったのよ。」
誰しも一回は耳にしたことがあるような言い回しだ。
「じゃあ、つまらない授業をしているお前はとんでもない極悪人だな」と小学生の頃から捻くれていた僕はそんなことを思った。
この理論が言いたいこともわかるのだが、どっちかというとただ時間を奪われているやつにも問題があるのではないかという気がしている。
電車が止まったときも、本を読んでいる人は気にせず読み続けているし、資格の勉強をしている人は何食わぬ顔で続けている。
やるべきことがある人は、黙々とやるべきことをやっているのだ。
ただ何もせずに早く動き出さないかとイライラしながら待っているときが時間が経つのがもっとも遅い。
そして、そういう時は大抵電車の動き出しも遅れるものだ。
大人になっても自分の貴重な時間を奪う輩はたくさんいるから、せめて奪われない努力をしよう。
時間泥棒の防犯に、とりあえずkindleで本を2,3冊ダウンロードした。