見出し画像

5月は「巳」の月: ボタクロ・シーズンス半期の振り返りと、6月の予定(#07 うま)

今の状況を生きる自分の在り方やそのフェルトセンスを、植物に喩えて理解しようと試みるフォーカシング系のワーク、ボタニカル・クロッシング(通称ボタクロ)。その亜種というかバージョンの1つとして、旧暦の各月それぞれの植物の12の生長段階の「干支」と交差させて、現在の自分を理解するボタクロ・シーズンスという手法を考案し、ワークショップを実践してきました。

いわゆる十二支である「干支」は、「ねずみ、うし、とら…」とそれぞれの動物のイメージがあてがわれていますが、古代中国の殷の時代に考案されたもともとの十二支は、種から芽が出て葉が広がり、やがて実をつけ、そして枯れていくという植物の生長段階のサイクルを表現したものでした。
いわゆる「辰年」のように年に対応するものだけでなく、一年(旧暦)の12ヶ月それぞれにもそれぞれの干支の性質が対応します。丑(うし)は種の中で芽がクシャっとかたまり、外に飛び出そうと圧力がかかっている様子だし、辰(たつ)はまさに振うような青々とした生長の様子を示していたり…。

昨年の12月、旧暦の11月にあたる「子(ね)」の月からスタートし、月に一回のオンラインでのワークショップを企画してきました。5月は「巳」の年。これに関しては動物のヘビのイメージもその理解に役立つもので、へびがぐるぐると「とぐろ」を巻くように、巳の月は植物の成長が止まる、”已む(やむ)”ことを示しています。
これは単なる衰えを意味しているというより、ただ幹や茎を大きく長くする生長段階季から、花芽をつけて実を結ぶための成長の移行段階の始まりを示しています。巳には「もはや、すでに」という意味があるらしく、まさしく生長のひと段落、少年が大人になる、というような印象を伴います。

というわけで、ちょうど半年間に渡り行ってきた"巳の月"の5月のボタクロ体験会はいったんお休みし、振り返りのための小休止の月とさせていただきました(ちなみに、本記事のイラストは、可愛いへびのイラストが手元になかったため、ChatGPT4oに描いてもらったものです。リアルでありながら絶妙に可愛くして、とお願いして描いてもらったとぐろを巻いているへびです)。

継続して実施しているボタクロ・シーズンスの体験会は、少人数でじっくりと現在の状況を振り返りつつ、その月の干支にまつわる植物の段階をモチーフとして、さらにフォーカサーのフェルトセンスの理解を深めていく時間。ワークショップを企画してとても興味深かかったのは、各回にご参加される方のセッションがいつも、まさにその月の干支らしさが際立っていくプロセスが見受けられるということでした。もちろん事前にその月の干支についてご紹介をした上で広報はしているものの、暦のリズムというか交差の面白さというか、まさしくその月のテーマがセッションの中から立ち現れてきます。

新しい根がグッと張り出し新芽が動き出す季節には、まさにそのようなご自身の人生の「新しい展開」がテーマになったり、ツタがぐんぐんと伸びていく季節には、たくさんの領域にまたがって物事を繋げていくプロセスが話題に上がったり…。それだけではありません。例えは「亥(いのしし)」の月は、命が種の中に封じ込められていく季節として干支では理解されていきますが、この季節にはどのように物事を終えていくか、閉じていくかにフォーカスが当たったりすることも。
交差(crossing)には、何かのイメージをあえて掛け合わせることでその理解が進む「意図的な交差」の機能もあれば、期せずしてそのような時期の干支のモチーフが思いがけず「すでに交差していた」ことを知る過程もあります。交差にはこの両面があり、植物のモチーフによって際立つ、その季節ならではのフェルトセンスの意味と出会う面白さが、ボタクロを実施する中での魅力になっています。

他にも…
・植物のメタファーを使うわかりやすさ(リスナーとしての聴きやすさ)
・植物の時間性の豊かさ(年単位のゆったりとした時間が現在に交差していく)
・環境への解像度の高さ(動かない植物だからこそ、周りのことがよく見えていく)
などなど、ボタクロならではの面白さを、僕自身もリスナーとして毎回興味深く体験しています。

6月から、干支の後半「うま、ひつじ、さる…」とまた月一でのボタクロ・シーズンスを再開いたします。この後半期は、植物は花を咲かせ身を結び、紅葉し、そして来るべき冬に向けて葉を落としてくのプロセスへと展開していきます。このようなモチーフと現在の状況を交差させ、ご自身の現在の状況の振り返りを行っていきます。

まず6月は「午(うま)」のモチーフ。ちょうど12時を午の刻「正午」と言いますが、これは日の一番高く上る地点、ここから陽が陰っていくときの折り返しの時間帯を指します。植物は、この季節には「忤(さか)らう」時期を迎え、巳の季節に引き続いて、ただ大きく成長する段階から"衰退の傾向"を示しつつ次の世代への受け渡しとなる実りの季節の到来を意味します。この頃は、ふと立ち止まったり、何かを手放したり、諦めたりする季節とも言えるかもしれません。

スイスの精神科医であるカール・ユングは「人生の正午」という表現で、人生の転換期である40代前後を言い表しました。そういえば僕自身もちょうどこの”午”の季節に差し掛かってきました。
これまでの歩みを止め、少し立ち止まって見て、これからのことを振り返るには、ちょうどいいタイミングでもあるように思えます。

爽快に駆け抜ける動物のウマのイメージとは対照的に、例えば丙午(ひのえうま)が避けられるのに象徴されるように、干支の「午」には一般にネガティブなムードが伴っています。ですが、立ち止まり、振り返るということを大切にするフォーカシングとは、むしろ相性がいいように思えてなりません。

6月のボタクロ体験会で、この午の季節をじっくりと味わってみませんか?詳細やお申し込み先は以下の通りです。

<ボタクロ・シーズンス体験会(#7 うま)>の詳細
実施日時:2024年6月15日(日) 14:00-16:30(予定)
実施形態:オンライン・リアルタイム(zoom、見逃し配信なし)
参加費用:一般 3, 500円  (日本フォーカシング協会メンバー割 3,000円)
定員: 3名、先着順 (参加費振込確認時点で参加確定となります)
申込期限:2024年6月13日(金) 17:00
※定員に達し次第、募集締切となります。ご了承の上、お早めのお申込みお願いいたします。
さらなる詳細と申し込みはこちら
↓ ↓
https://shimpei-okamura.com/610/
または
https://forms.gle/2yMet8TKYbXkLKim8

6月以降も、ほぼ月イチでボタクロ・シーズンス体験会を継続して開催いたします。実施情報は、focusing living laboのfacebook、instagram、Xのアカウントで発信しております。このnoteアカウントのプロフィールにリンクがありますので、よろしければフォローいただけますと嬉しいです。

個人でほそぼそと実施している都合上、今回のように直前に企画し広報する場合がままありますのでご了承ください。
6月生まれの岡村、体力や予定、自分の健康状態と相談しながらも、ライフワークであるフォーカシングのワークショップを実施しております。まさしく人生の正午、午の季節を迎えつつある育児中の中堅教員です…。

どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?