ドラマ「silent」に出てきた本が気になってしかたない編
「わたし、気になります!」
ドラマとか映画見てると、本の表紙がうつるじゃないですか!
それが気になるんです。
それが実際にある本の場合もあれば、そのドラマや映画の中でしか出てこない本だったりして、ドラマや映画に本の表紙が出てくるとメモを取ってあとで調べるっていうのが、ライフワークになってきています。
ちょっと前のnoteにも書きましたが、放っておくとすぐに忘れるので、出てきたらすぐメモします。
画面の写真を撮ってあとで実際にある本なのか、その作品のために作られた架空の本なのかを調べます。
映画の場合は、見終わったらすぐに覚えている範囲のことをメモしておいて、パンフレットを買って資料がないか探したり、あとは作品の公式twitterで撮影風景にうつりこんでないか探したり、配信かソフト化されるのを待って改めて確認したり、これがけっこう楽しいのです。
例えば映画「余命十年」。
映画館で見てたときに、この映画のラスト付近で原作となった同名の本が書店に並ぶ映像が映るのをメモしていて、あとで調べようと準備していました。そしてこのたび映画の配信が始まったのでさっそく確認しました。
これが映画の中のシーンで出てきた「余命10年」の装丁。
そして下が原作の余命10年の装丁です。
同じに見えますね。でもよく見るとそうではないのです。
映画に出てくる装丁は著者名が物語の主人公の名前「高林茉莉」に変わっているのです。
これは実際に起きたことと原作の物語をリンクさせた映画的改編で、説明するとネタバレにもなるので書きませんが、元のこの装丁を使っているところにぐっときたりします。
ただ、このシーンの場合、注目ポイントはそこではないのです。
確認したかったのは「余命10年」の脇に並べらた本たちの方。
横に並んでいる本、こんなタイトルです。
右隣「春を待っていました」 涼川楓花
左隣「奇跡が巡る街」小野美陽
その左隣「パノラマ」小野雅人
調べてみたら、この3冊、どうやら実際には存在しない本なのです。
どれもこの一瞬のシーンのために作られた装丁。
しかも何の説明もないただの背景です。
でも装丁も帯のネームもしっかり作り込まれています。
例えば手前の1冊、
「春を待っている」 涼川楓花
想いは受け継がれる、未来へ!!
高校を卒業して5年、真梨は教師に!?
真梨先生が生徒に教えたいこと
大事なのは勝ち負けじゃない、楽しむことだ!!
シリーズ30万部突破 第2弾(待っていました!)
こういう本らしい。
30万部!!いまの出版事情から考えると驚異的な数字だ。
で、よく見るとこの3冊以外にも本がある。
画面の隅にちょこっとだけ見切れている本。
調べてみたらこの2冊は実際に存在する本だった。
奥にあるのが「絶対猫から動かない」新井 素子
手前にあるのは「バスへ誘う男」西村 健
ちなみにこの2冊、どちらも2020年春頃に発売された本で、おそらくこのシーンはその時期に撮影されたと思われる。
ある意味本当にどうでもいいことだ。
でも、そんなどうでもいいことを楽しむことが、人生を豊かに生きるコツであったりもするのだ。
そんなこんなで、ドラマや映画の中に本が出てくるとメモを取って、調べてということをやり続けている。
ここ数年で始めた新しい趣味だ。
例えば前クールのドラマ「六本木クラス」
登場人物が大物で、自伝的な本を出しているという設定。
これは作品内に本が出てくる典型パターンだ。
大手外食チェーンの会長が出した本だからタイトルが
「美味なる生き方」ストレートな架空本。
同じく前クールのドラマ「雪女と蟹を食う」
登場人物が作家だったり、出版関係者で、その著作として架空の本が登場するパターン。これもすごく多い。
現実ではなかなか見ないような大きな発行部数が帯に書かれていることが多い。
この小説も50万部のベストセラーだ。
先日見てきた映画「窓辺にて」は編集者と作家とライターの話だけあって、印象的な架空の本の装丁がたくさん出てきた。
映画に出てくる架空の小説「ラ・フランス」の装画を担当されたイラストレーターのsatsukimさんのインスタに映画に出てきた装丁の画像がまとまってた。
パンフレットにはそれぞれの架空の本の装丁についての監督のこだわりポイントが載っていて、こういうのはとてもありがたい。
映画も最高なので是非!!
ドラマや映画の中に本の装丁を探す趣味をはじめて気がついたのは、見るドラマ、見る映画、本が良く出てくるってことだ。
以前は、あるな〜って程度でそれほど気してなかったけど、いったん調べ始めてみると面白くなってきた。それで気になり始めたら、どのドラマにも必ずと言っていいほど本が出てくる気がして、やめられなくなってた。
たいていは一瞬だけ出てきてそれで終わりなので、気を抜かずに注意を払わないと見逃すし、すぐ忘れる。
だから「あ、本が出てきた!」となったらすかさずメモを取る。
そして見終わって、それは架空の本なのか、それとも実際にある本なのか、調べてみる。
そうやって楽しんでいる。
さて、そこでようやく本題だ。
いま話題のドラマ「silent」
1話目から見てます。
とにかく泣けますよね。
ただですね、素直に泣くに泣けないほど、気になってることがあるのです。
それは1話目に出てきた本が何だったのか?
それが気になってしかたないのです。
どの本かというと、この本です。
ずっと会っていなかった主人公2人、想と紬が偶然再会する運命的なシーン。
そこで想が読んでいる本です。
真っ白な中にぽつんと文字だけ印刷されているような、そんな装丁に見える。
本自体は、ハードカバー、上製の作りのようだ。
スピン(ヒモのしおり)もちらりとのぞいてる。
しかし、なんて書いてるのか、まったく読めない。
うーん、なんだろう、この本…
次のシーンでその本が地面に落ちる。
そしてそれを別の登場人物が拾うシーンで再びこの本が出てくる。
できるだけ大きくその画像を写真に撮ったのですが、やっぱりなんだかわからない。
やっぱり真っ白で、そこにぽつんと字が書いてある。
分かるのはタイトル4文字、著者名も4文字。
そのくらい。
これは果たして、実際に存在する本なのか、それとも架空の本なのか。
ここから長い探求の旅が始まる。
まず番組のホームページや公式Twitterなどで、この本が写っている写真がないか探してみました。
ありませんでした。
ヒントは、このシーンのこの写真だけ。
なんとかこの写真から、割り出すしかないのか…。
まずじーーっとこの文字を観察します。
まずはタイトル。
よく見ると2文字目は「の」のように見えます。
「○の○○」
どうやらこれがタイトルのようです。
「○の○○」・・・・・
「道の行方」「僕の未来」「私の秘密」「犬の首輪」「頭の体操」「魂の洗浄」「鳥の決闘」「肉の大盛」「酒の大将」…
ダメだいくらでもありすぎてヒントにならない…。
今度は著者名だ。
最後の文字が何となく「子」に見える。
おそらく女性の著者が書いた本のようだ。
そしてうっすら表紙に何か絵のようなものが見える。
羽?ただの汚れ? わからない。
タイトル「○の○○」
著者名「○○○子」
絵(羽?)が描かれているかもしれない
ヒントはこれだけ。
超難しいナンクロだってもう少しヒントがありそうな気がする。
ひたすらよく見て…
なんとなく「○の戯れ」のようなタイトルなのでは?
そう見えてきた。
「の戯れ 装丁」ってワードで検索してみた。
「水の戯れ」という本はあるみたいだ。
似ても似つかない本だけど…。
もうやめた、仕事中にこんなこと始めたら、仕事が全然進まない…。
いったんここで終了。
しばらくそのまま寝かせてみた。
この間にテレビでは2話、3話と放送され、第2話でまたすこしだけこの本がうつったんだけど、1話目で本が落ちたシーンがいちばんはっきり見えるシーンでこれ以上の情報はなかった。
このドラマを見ているという友人にもLINEで、この本がどう見えるか聞いてみた。
「最後の文字、月じゃないですかね…?」
とのこと。
「月」か…。
「○の○月」・・・
だいたい実際に存在する本なのか、架空の本なのかもわからない。
架空の本だったら、答えの探しようもない。
その後、ドラマ中に別の本、手話の教材本が出てくるのだけど、そちらは実際に存在する本だった。
他にも1話で出てきたCDは実際にあるCDで、こんなCDが出てきたってtwitterですこし話題になっていたりするのを横目で見ていた。
一瞬でてくるだけの本だし、物語に直接関係のない本だし、とするとわざわざ架空の本を作るより、実際にある本を使うような気がする。
CDや他の本は実際にあるものを使っているし、経験値的にもその確率が高い気がする。
何とか探せないだろうか。
どうでもいいとは思いつつも、ときどき何かのタイミングで気になって、こんなタイトルでは?ってタイトルを打ち込んで、検索したりして、仕事の手が止まってしまう。
仕事に支障をきたす。
すっきりさせたい!!
こういうときは文明の利器に頼る。
パソコンを活用しよう。
フォトショップでトーンや明るさなどの補正をしてみることにした。
そう、一応、わたしプロなのだ。忘れてた。
そうして画像を加工したものが下の写真。
おお!だいぶくっきり、はっきりした!!
試しに平面にしてみた。
表紙は真っ白でなく、なんか絵がはっきりあるじゃない!!
羽?って思ってたけど、右のはコップかな?
コップっぽい。
もう一つは何だろう?
耳?それとも手で持ったコップにも見える。
とにかく何か絵があるのがわかった。
それからタイトルだ。
「○の○れ」
ではないか?
なんとなく「穂の訪れ」のように読める。
さっそく検索してみる。
穂の訪れ 装丁
穂の訪れ 本
穂の訪れ コップ イラスト
穂の訪れ
いろいろ検索してみるがヒントになるようなものは何も出てこない。
タイトルが違うのかもしれない。
イラストだけで調べてみる。
コップ イラスト 手 装丁 …
思いつく限りのキーワードを並べて打ち込むが参考になるようなものは出てこない。
画像検索なども駆使してみるもまったくヒントになるものに出会えず…
やはりタイトルから調べてみるか、
「穂の訪れ」ではなさそうだ。
「○の訪れ」
春の訪れ、夏の訪れ、秋の訪れ…
「夏の訪れ」という楽譜集は出てきた。
惜しくもなんともない。
ちがうのかー。
それともこれは架空の本で、「穂の訪れ」なのかな〜。
タイトルはいまだに不明だ。
しかし、ここで大きな発見があった。
イラストが描かれている。
それはわかった。
右にコップのイラスト、
その左におそらくコップを持つ手のイラスト。
コップがふたつ。
おそらくこんなイラスト。
大きな進歩だ。
それからたびたび「コップ イラスト 表紙」などで検索したり、いろいろな検索方法で似たようなイメージを探してみたりした。
でも、結局何の進展もないまま何日かが過ぎていく。
もうあきらめかけていたとき、映画を見ていてあるシーンではっとなった。
刑事が捜査の過程で、防犯カメラにうつったぼやけた車のナンバープレートを画像処理で鮮明にしてナンバーを割り出していた。
そうか、これだ!
これがあるじゃないか!!!!
よく映画にこういうの出てくるじゃないか!!!
いまやAIが人間よりすごい絵を一瞬で描く時代だ!
文字くらい簡単に解読しちゃうんじゃないの!?
便利なものがきっともうふつうに世の中にはあるはずだ。
画像の解像度を上げるAIって調べたら「Remini」ってアプリが出てきた。
いや、これやばいでしょ!!!
これが、これよ!
これが、本当にこうなるの?
すげーよ「AI」!!!
もう完全にAIの時代じゃん!
もう一発解決じゃん。
早速、ダウンロードした。
改めて、「silent」1話目を見直した。
もしかしたら他のシーンに本が映っているのを見落としてるかもしれないからだ。
現場100回。
刑事の基本だ。
そして改めて該当のシーンをスマホで撮り直す。
なにせ高性能のAIアプリだ。
余計な処理を加えたものよりもよりプレーンな画像の方がいい仕事をしてくれそうな気がする。
さーAIよ!!
この画像をどう鮮明に処理してくれるのよ!
さーーー!!!
このビフォアの画像が…
矢印をスワイプさせると・・・・・・・
・
・
・
・
・
・
どうだ!!!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・
全然変わってねー!!!!!!!!!!
これが、これなのに!!
これは、これ!
全然変わってない!!!!
のだけど、あれ!?
何度も何度も見てたせかい、新しくスマホで写真を撮り直したせいか、タイトルの文字部分の写真の感じがちょっと違って見える。
「○の○○」の3文字目、これ「断」じゃない?
「○の断○」
これではないだろうか?
3文字目が断だとすると…4文字目はなんだ?
最初は「れ」に見えた。
「断れ」ありそうだ。一応候補。
友人は「月」に見えたという。
「断月」ない言葉だけど、ゼロではない。
とにかく、「の断れ」「の断月」と色んな可能性を考えつつ、「装丁」「本」などのワードを追加して検索をかける。
しかし、それらしきものは何も見つからず。
ちがうのか…
と、途方に暮れつつ、いい加減仕事に戻ろうって写真をサムネイルにもどして小さくしたところで、ふと最後の文字が一瞬違って見えた。
あれ、これもしかして「片」?
「○の断片」ありそうだ。
これで最後に検索をかけて何も出なかったらやめよう。
すっぱり諦めよう。
仕事に支障をきたしすぎてる。
「命の断れ」とかそういうタイトルの架空の本ってことにしよう。
そうしよう。
本気でこんなことに時間使うのもうやめよう。
仕事しよう。
最後に一回だけ検索。
「の断片 装丁」で画像検索。
出てきたのが下の検索結果画面。
一番下の列、なぜかわたしのnoteの記事のトップ画像が出ている。
この記事のトップ画像。
なぜ「の断片+装丁」のキーワードでこの画像がヒットしたのかわからないけど、オチとしてはいいじゃないか、ドラマの中の白い本の装丁を探していてたら、自分の白い表紙についての記事が出てきた。あ、その列の一番右は、わたしが装丁した本の表紙じゃないか。自分の画像がたまたま2つも出てくるなんて、最後を飾るにふさわし、、、ん、
え?!
えーーーーーーーーーーーー!!!!
まじか!!!
こんなことあるのか!!!!??????
お気づきだろうか?
わたしのnoteのバナー画像、その脇、2枚の画像を見ていただけるだろうか?
両脇の2つの画像、よくみていただきたい。
コップとコップを持つ手のイラスト…
これだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
きたーーーーーー!!!
きたきたーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
すごい。
まじこれ?
すごいんですけど、いや、ちびりそうなんですけど。
やったーーーー!!
やったーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
ついにたどりついた!!!!!!
「旅の断片」
これが探していた本。
間違いないでしょう!
実際に存在する本でした。
ついに、ついに、たどり着きました。
これが本当の引き寄せの法則?
こんなドラマチックな結末を誰が予想できたろうか。
人生はミラクル。
それを実感した瞬間でした。
ドラマや映画の中に出てくる本の装丁を調べる。
そんなくだらないことが人生をこんなにも面白くしてくれるのです。
最高じゃないか!
そして人生に無駄なことはない!!!
いや、無駄こそが人生を楽しく豊かにするんだ。
この記事を書きながら、さっそく「記憶の断片」は買いました。
こんな本の出会い方もあるんだな。
そして届きました。
これが実物!
カバーのないハードカバー。
カバーの題字もイラストも全て箔押し。
表紙の紙は紙の目だけ見ると「ネオウーブン」で間違いないと思うんですが、うっすらピンクの地色が入っていて、この色のネオウーブンは存在しないので、別の紙なのか、白(#18)に薄くピンクを塗っているのか…。
箔押しの色はブラックにも見えるんですが、すこし茶っぽさがあるので、メタリックの「コーヒーブラウン」か、いろだるまシリーズの「だいち」かではないでしょうか。
見返しは「NTラシャ あい 100kg 」で間違いなさそうです。
上製の背にはなぎれは使っていないようで(珍しい)、スピン(ヒモのしおり)は伊藤忠夫商店「27」だと思います。
とても風合いのあるステキな装丁。
読んだら毎日記録を付けているtwitterの読書メモに感想書きます。
追記 読みました! 2022年12月4日
ちなみに最近いちばんすごいと思った架空装丁の作り込みは、朝ドラ「舞い上がれ!」第12話に出てきた古書店「デラシネ」の美術でした。
以下、過去の記事です。