【映画感想】 『ブルータリスト』

前情報としてアカデミー賞候補になっていること、エイドリアン・ブロディーが主演なこと、ユダヤ人が主人公なことは知っていた。
しかし、今、アカデミー賞でユダヤ人の話が候補になることは、いろいろ論議を呼びそうだし、そんな記事をどっかで見かけたようなそうでもないような…。
うっすらとそんなことは思ってはいたが、久々に良質なドラマが見られそうな映画でもあり、期待はなくはなかった(どっちなんだ)。
なんだか随分凝ったタイトルと出演者などの文字を見つつ、いい感じに落ち着いた話。いい雰囲気もあり、期待通りの映画の良さ、それも新しい感じのするものはあった。しかし、それはどこから来るのかはわからない。
映像の良さもあったのか。確かにネットフリックスの日本映画はお金がかかっているせいか、映像はしっかりしていて興味を持って見ていられる気はする(しかし、そこまでいい映画はないと思う)。
しかし、途中でintervarrrlがあるとは思わなかった。
そんなに長い映画なのかとその時に初めて気がついた。前半であんまり話が動いてなかったような気がするが…。
姪がイスラエルに移住するというセリフを聞くと、やはり、パレスチナのことを考えてしまう。今の戦争を置いて考えたとして、姪に思い入れしてみたところで、向こうではユダヤ人とパレスチナ人の衝突や、テロなどのことも(その頃、起こっていたかは知らないが)考えるわけで…。
そこを無視してみるわけにはやっぱりいかなかった。
映画館に来たお客さんは何を思って、この映画を見に来たんだろうとも考えた。
エイドリアン・ブロディーの演技がくどく感じられるシーンがあったが、奥さんのフェリシティー・ジョーンズもなかなかくどい演技だった。
監督の演出がやりすぎなのか、俳優がアカデミー賞ものの演技を見せようと頑張りすぎたのかわからないが。
夜にベッドでうなされ「ぎゃー」と叫ぶシーンではそんなに目立ちたいんかとちょっと笑ってしまった。意地の悪い見方だったか。そういうつもりはないんですけどね…。
ホロコーストを生き延びた男とアメリカの実業家の男。ユダヤ人の格差。
ユダヤ人によるユダヤ人差別と加害。は描かれる。描く意味はあるとは思うものの、それが何に通じるのか、停戦にはなったが、イスラエル側の戦争の言い訳のようにも感じてしまった。
最後の表彰されるという、お手盛りな展開にもがっくりさせられた。
話も中途半端で終わりに、めでたく功績を認められめでたしめでたしなんて、高校生ぐらいが考えたレベルのシナリオになってしまっている。それとも、この表彰式にそれまで映画の中で語られなかった、隠された意味がるのならまだわかるが。
その後にまたやけに凝ったエンドロールが流れるが、この単純な話の終わらせ方であんなエンドロール流されてもかっこ悪いだけに見えてしまった。(終)


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