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英虞湾クルーズ船は黒潮に乗ってヤスガーズ・ファームに漂着する
僕が西岡恭蔵を初めて聴いたのは19才くらいの頃だ。その頃の僕といえば、ポケットはいつも空っぽで、お腹が空いていて、喉が乾いていた。音楽や映画を貪るように摂取していた時期で、今のようにサブスクリプションで定額聴き放題もなかったので、とりあえずはそういった趣味の合う仲間とレンタル店でまとめ借りをしてPCに取り込み外付けHDDに格納、データを
コピーしてシェアする。出来るだけ毎日聴いたことのない音楽を
HOTEL宇宙船2020
「敦郎、もしかして丸の内線乗っとる?」
一度目の緊急事態宣言での自粛が明けたすぐあとだったから2020年6月上旬だったと思う。私は時差出勤のため、11時台の丸の内線に乗って出勤しながら日課であるオンラインオセロをスマートフォンでこなし、巧みに隅を打ったあと、やすり攻めをイラクの対戦相手に対して行い、軽快に一日を始めようとしていた矢先だった。SNSの通知にやや驚きすぐアプリを開いて確認すると凛からだ
ポツネン探偵日記 2020年11月
11月某日。北陸の舞台挨拶、リアルは川上さんにまかせて、金沢だけリモート登壇。劇場の方に登壇前モダンラバーズについて訊かれる。シネモンドの「モンド」の由来について伺おうと思ったけど忘れたので配給の熊谷さんが後から聞いて教えてくれた。川上さんのお父さんに会いたかった。
11月某日。仕事終わりに赤坂に睡蓮みどりの写真展行く。トムさんや映画監督の佐々木さん、キネマ旬報の方に会う。鈴木史さんがあとから来
『れいこいるか』のこと
いまおかさんの『れいこいるか』は四季ごとに神戸に数日行き、一年ほどかけて撮影されたと聞いた。それを編集してラッシュ(ざっと繋げたもので音の処理や色味がまだ決まっていない状態)を五反田のフィルムクラフトで見たのがたぶん2018年の暮れくらいだったと思う。昔、このビルに入っていたI社で働いていたので懐かしかった。たしか編集の蛭田さん、本作の出資者、プロデューサーの川本さん、女池充さん、脚本の佐藤稔さん
もっとみる映画芸術の終焉、あるいははじまり、の幻想〜守屋文雄監督『すずしい木陰』に寄せて〜
2020年4月7日、日本では七都府県に緊急事態宣言が発令、それまで自粛ムードが続いていた娯楽産業であったが、東京都の映画館のほとんどは翌8日から1ヶ月ほどの休業を決めた。それに先立って4月4日から新宿ケイズシネマにて公開が始まっていた『すずしい木陰』は、新型コロナウイルス対策のため、座席数を半数以上減らして上映を続けていたのではあるが、あえなく7日の上映をもって最終日を迎えてしまった。その幻の