無職になるまで日記 vol5 あと96日
ちっちゃいばあちゃんは生まれつき足が悪く、ほとんどベッドの上に座ってた。
加治木特有の鹿児島弁しか喋れないから、
僕らは父が通訳に入り会話をしてた。
そんなちっちゃいばあちゃんは、
鹿児島からほとんど出たことがなかった。
そんな中、若かりし父が1度だけちっちゃいばあちゃんを東京に連れて行き、父がおんぶして、東京を、皇居を見て回った。
父が疲れて、タクシーに乗ると、降りる時に、
『代金はいらない。親孝行しなよ』
とタクシー運転手から言われたんだとか。
ちっちゃいばあちゃんは、この日の東京観光を1年くらい、誰にも喋らなかった。
理由は、『誰かに話すと思い出が薄れる気がしたから』
東京から帰ってきてから、
心の中で東京の思い出を繰り返し繰り返しなぞっていたんだそうな、、、
ちっちゃいばあちゃんは、僕らにふっとか家を建てなさい。と繰り返し言ってた。
僕は託された願いを叶え、ふっとか家を建てた。
本家を見返したかったんだろうなぁ
(400字)