無職になるまで日記 vol6 あと95日
vol5に続き、ちっちゃいばあちゃんの話
ちっちゃいばあちゃんは、わかりにくいと有名な鹿児島弁の、さらにコアな特定の地域だけで通じる鹿児島弁しか喋れなかった。
家族の中で、完全に通じるのが、ちっちゃいばあちゃんの妹である祖母と、僕の父だけ。
そのため、時々、入院や、施設へ一時的に入所した時は、言葉が通じず(鹿児島弁が喋れる人でも理解ができない言葉があったり)、ストレスを溜めることもしばしばだったらしい。
そんなちっちゃいばあちゃんは、ストレスとは関係なく、お盆の1ヶ月くらい前から、誰にも耳を触らせなくなる。耳の掃除ができなくなる。
というのも、お盆は、父(秀明)が僕らを連れて鹿児島に帰省する。
帰省したら、秀明が、耳垢そうじをしてくれる。
だから、秀明が帰ってくる時に、たくさん耳垢があるようにしたいので、誰にも触らせない。
嬉しそうに耳そうじを息子にされる、可愛いちっちゃいばあちゃんは、今も忘れられない。
(400字)