会議で発生したタスクは「ToDo」と「課題」に切り分けろ!人を動かす議事録3つのポイント
以前の投稿の「議事録がわかりにくいと言われるすべての人へ。議事録のプロが実践する5つのコツ」に引き続き、今回も議事録における重要なポイントをご紹介していきます。
会議で最も重要なのは「タスク」と「お金」に関わること
会議の議事録を作ってみたら、上司から「あんな大事なことがもれているじゃないか!」と注意された経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。会議における「大事なこと」「重要なこと」とは、具体的に何なのでしょうか。
ズバリ、会議において重要なのは、
①「人のタスクに関わること」
②「お金に関わること」
この2つです。
なぜなら、会議は「人の動きを決める場」であり、「お金の使い方を決める場」であるからです。
お金については後々揉め事になりやすいポイントなので、絶対に議事録に残しておく必要があることは、みなさんもおわかりになるでしょう。
もう一つの「人のタスクに関わること」というのが、意外にも複雑なのです。一言に「タスク」と言っても、人のタスクに関わる重要事項とは、大きく分けて3つあります。
それは、
1. 誰かのToDo(すぐにやること)
2. チームやメンバーの作業に影響を与える課題
3. 運用など継続的に発生する作業に影響を与える課題
です。
プロジェクトマネジメントの現場では、多くの人が関わっており、会議はその人達の動きを決める意思決定の場になります。この3つの違いをしっかりと抑え、議事録の表現を工夫することで、やるべきこと、検討すべきことが明確になり、プロジェクトがスムーズに進むのです。
議事録の担当者は、「この議事録によってどのような影響があるのか?」というところまで考えて作成する必要があります。
では、「人のタスクに関わること」3つのそれぞれのポイントと書き方をご説明していきます。
1. 誰かのToDo(すぐにやること)
これは言わずもがなですが、絶対に漏らしてはいけません。「やっておきますね」や「やりましょう」と軽い口調で話した時こそ、タスクとしてもれやすいので要注意です。
会議中によく有るのが、「そう言えば、アレやらないとですよね」「そうですね」と軽い感じで会話が終わるケース。これを議事録に落とす際には、「そうですね」と言った人に具体的にタスクを割り振る必要があります。
---【NG例】-------------------------------------------------------
最新のヒアリング結果を、サービスメニューに反映させる必要がある。
その後、代理店に改めてメニューの資料を送付してほしい。
→承知した(吉田)
--------------------------------------------------------------------
---【OK例】-------------------------------------------------------
最新のヒアリング結果を、サービスメニューに反映させる必要がある。
その後、代理店に改めてメニューの資料を送付してほしい。
→★吉田:サービスメニューを修正し、資料を代理店に送付
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このように議事録に落とすことで、タスクが明確になり、もれを防ぐことができます。(そもそも、ファシリテーションとして会議の場でそうしておくべきではあるのですが。)
2. チームやメンバーの作業に影響を与える決定事項
チームやメンバーの作業に影響を与える具体的な例を挙げると、
・開発スコープの変更
・作業(設計など)方針の変更
などです。
プロジェクトを進めていくと、このような変更は必ずありますが、前提として、クライアントの「あれやりたい、これやりたい」というのは安請け合いするようなメモにしないのが得策です。そもそも会議の場で、どう受け止めるかが大事なのですが、あいまいな受け答えだった場合には、議事録上ではっきりと「請けない」という意思を示す必要があります。
議事録に記す場合には、
---【NG例】-------------------------------------------------------
2019年度中には、別途開発している営業支援AIと連携したい(田口)
→検討する(吉田)
--------------------------------------------------------------------
ではなく
---【OK例】-------------------------------------------------------
2019年度中には、別途開発している営業支援AIと連携したい(田口)
→課題として追加する(吉田)
--------------------------------------------------------------------
と記しましょう。
NG例のほうでは、「検討する」としてしまっていますが、AIと連携するというのはこの吉田さん1人でできる話ではなく、開発会社含めかなりの人の検討作業が必要になってきます。
安請け合いするようなメモを残すことは、「検討するって言ったよね」という証拠を与えてしまうことになります。ですからここでは、やるもやらないも語らず、「課題に追加する」くらいに収めるべきです。
3. 運用など継続的に発生する作業に影響を与える決定事項
運用など継続的に発生する作業に影響を与える具体的な例を挙げると、
・ある業務の担当が変わる
・システムの監視項目が増える
などです。
運用は1回のものではなく、継続的に発生するもの。ちょっとした作業の変更が、年間の作業量に合算すると結構な規模になります。そのため、運用作業に関わるようなことも安請け合いせずに、いったん受け取ってしっかり考えてから返答すべきです。
議事録に記す場合には、
---【NG例】-------------------------------------------------------
経理システムとの連携は当面手動運用とし、連携前に運用担当者がファイルの内容の妥当性をチェックするものとする(田口)
→承知した。システム機能としては削除する。(吉田)
--------------------------------------------------------------------
ではなく
---【OK例】-------------------------------------------------------
経理システムとの連携は当面手動運用とし、連携前に運用担当者がファイルの内容の妥当性をチェックするものとする(田口)
→実現性含めて検討する(吉田)
--------------------------------------------------------------------
と記しましょう。
仮に会議の場で「わかりました」と担当者が言ってしまったとしても、議事録で表現を変えて、うまいこと決定事項から逃れるようにしましょう。
以上、「タスク」に関わる議事録の書き方3つのポイントでした。
今後も、プロジェクトマネージャーが実践する仕事術をどんどん紹介していきます。
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